竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

15 竜人競技会

 
「初めまして、迷い人様。わたくしライラ・ロイブと申します」


 さっきまで私を冷たい瞳で見ていたその人は、奥からスッと出てきて私に挨拶をした。てっきりアビゲイル様が紹介してからと思っていたので面食らってしまったけど、今目の前にいる彼女は他の人と同じくらい、にこやかに笑っている。


(さっきのは見間違い? それにこの人、どこかで見たことがあるような……)


 でもこの世界で会ったことがある女性は、リディアさんとアビゲイル様くらいだ。きっと私の勘違いだろう。そう思い直すと私はなるべく優雅に見えるように、挨拶を返した。


「ご挨拶ありがとうございます。わたし、いえ、わたくしは、リコ・タチバナと申します。こちらの世界に来て何もわからないので、無作法なことをしてしまうかと思いますが、よろしくお願いいたします」
< 156 / 394 >

この作品をシェア

pagetop