若旦那様の憂鬱

柊生の場合

花は大事な妹だ。

そう思い続けてどうにか理性を保っている。

いつからだろうか…
本人だって明確では無い。

気付けば誰よりも何よりも、
大事で大切な存在になっていた。

花が一橋家の妹になってから5年の月日が流れた。

初めに彼女を意識したのはいつだったか…。

一緒に暮らすようになって、初めての夏。

俺はまだ、あの頃学生で、
弓道部に所属して国体の練習やらで忙しくしていた時期だ。

合宿から帰って来た日。

彼女は1人、家で留守番をしていた。
昼下がりの気怠い暑さの中で、
ソファでうたた寝をしていた。
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