跡取りドクターの長い恋煩い
初恋の思い出
 排卵痛……。
 なかなかのパワーワードだったな。

 俺自身、責任を取るつもりだったとは言え、そのワードには心底驚いた。

 ただ、彼女もまた心底驚いた様子で、考え直したのは間違いない。
 
「責任を取る」

 それは俺にとって決定事項だ。

 なぜなら彼女こそが俺の初恋相手であり人生26年、唯一愛してきた相手だからだ。

 つまり……このなんだか分からない棚ぼたのような機会を逃す訳にはいかないのだ。


 ◇◇


 彼女、芦田笑美里とは幼い頃から、K大の内科学教授の誕生日パーティで何度も会っていた。

 何かと派手な医局で、年1回の同門会(同じ医局に在籍した事のある者の集まり)を教授の誕生日パーティと併せて開催していた。
だから父達は医局を離れていたが、同門会として参加していたのだ。

 家族も連れての参加が基本だったから、俺は両親と弟と共に参加。笑美里も3つ上の兄貴と参加していた。
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