無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない

06. すれ違う2人

(どうして私の秘密を知っているのだろう……)



 自分の部屋に戻ってからも、あの時何を言えば良かったのか考えていた。私の方が高位貴族なのだから、「失礼なことを言わないで」と言えば良かったのかしら。でもその場で刺繍をしてみろと言われたり、もっと詳しい舞台の内容を聞かれたらボロが出るだけよね。


 それに「シャルロット様が私の婚約者を奪おうとしている」なんてカレン様達に伝えても、信じてくれるかしら? 私でさえあの豹変ぶりを信じられないのに。ましてあの場面を見てないなら、なにか勘違いされたのでは? と思われて終わりだわ……。


「レイラ? 大丈夫かい?」


 その声にハッとして振り向くと、いつの間にかお父様が目の前に立っていた。私ったらお父様が入ってきたことにも気づかずにいたなんて。それにしてもお父様の表情も暗いけど、なにかあったのかしら。
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