再会した幼馴染みは犬ではなく狼でした

幸せとはⅠ

 
 翌日、お姉ちゃんに付いてきてもらい、病院に行ってきた。

 診断の結果は妊娠二ヶ月。もうすぐ三ヶ月というところらしい。
 もうすぐ八月。私の誕生月だ。

 子供は三月生まれになる予定だ。ギリギリお姉ちゃんの子供と同学年。
 少しでも出産が遅れれば、一年違いだ。

 お姉ちゃんは、大騒ぎ。先生も苦笑い。
 何とか同じ年にして下さいと先生に頼み込む始末。

 頼むよ、お姉ちゃん。落ち着いてね。

 家では、またお姉ちゃんが大騒ぎ。
 お母さんも、落ち着きなさいと叱り出す始末。

 亮ちゃん達は、夜七時頃来る予定。

 お母さんは夕飯をお寿司にすると言って、注文したり、お吸い物作ったりと忙しそう。

 お父さんもその頃には仕事から帰ってくる予定。

 ふたりは入って来るなり、両親に土下座。

 父はびっくりして、頭を上げて下さいと母と共にふたりに駆け寄った。

 「いや、本当に手際の悪いことでお恥ずかしい。私達親子の話し合いがきちんと出来ていなかったから社内で亮の問題が起きたというのもあります。雫さんには心労をかけた上、結婚前の急な妊娠とは……亮はどうしようもない。本当に申し訳ないです。」

 支社長は本当にお父さんと私にまた頭を下げてくれた。

 父は、もういいですと言いながら、亮ちゃんを見た。

 「亮君。おめでとう。僕らは本当の親子になれるんだね。まあ、今回のことは君も驚いたろうし僕もびっくりした。雫を大切にしてくれるという言葉を信じているから許したんだ。これからもよろしく頼むよ。」

 亮ちゃんは、お父さんとお母さんを見て頭を下げると、
 「ありがとうございます。そして、雫のことでご心配おかけして本当にすみませんでした。仕事が忙しかったのはありますが、自分が未熟だったからだと思います。これからは雫と生まれてくる子供のことを一番に考えて生きていきます。」

  「ねえ、お父さん。亮ちゃんは私と同い年だけど、雫と結婚するんだから弟になるんだよね?亮ちゃんざまあみろ。覚悟しなさいよ。雫に何かしたら倍返しだからね。」

 「……。」
 「……。」

 父と母は、姉を見てうなだれた。

 「こちらは、お姉さんの楓さんだね。お久しぶりだ。お綺麗になられた。楓さんも妊娠中とは……。花崎家は福がダブルで舞い込んで、ご両親は忙しくなりそうだね。」

 支社長はお姉ちゃんの方を向いて話した。
 
 
 
 
 
 

 

 

 
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