公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

ジェローム・ダンヴィル

 大広場にある凱旋門をくぐれば、障害物はほとんどなくなってしまう。

 昔の英雄を讃える為につくられた凱旋門は、他の多くのそれらと違ってミニチュアみたいに小さい。だけれども、だれかとの待ち合わせの目印にピッタリである。

 凱旋門を潜り、大広場内に入れば視界がよくなる。そうすると、追いかけている連中にはっきりと捕捉されてしまう。
 わたしは、少年っぽくても小柄なレディ。そんなわたしより、男性の方が体力があるのは当然のこと。足の速い人がいれば、あっという間に追いつかれてしまう。

 とはいえ、大広場の周囲にある建物に隠れながら移動するというのは時間がかかる。それに、彼らから姿を隠すことは出来るけれど、わたしも彼らの姿が見えなくなる。彼らは複数人いるので、もしも手分けして路地に入りこまれでもすれば、包囲される可能性がある。

 そこまで考えたけれど、面倒くさくなった。
 結局、このまま猛進することにした。
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