公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

姉の正体

「ミユ。叔父上は、こう見えてもイーサンやおれやエドモンド兄弟を始め、多くの軍人の剣の師匠なのだ。そして、情報部員や諜報員にとってはよき上役で指導員だった。事情があり、いまは野に下って軍やファース王国の為に働いてもらっている。街の『何でも屋』を隠れ蓑にしてな」
「ミユ。だから、そんなジトーッとした目でおれを見るのはやめろ」
「いやだわ、ボス。いまのは、尊敬の眼差しだったのに。それを、そんなふうに言うの?」
「いいや。尊敬の眼差しってわけではなかったぞ。もういい。いつの世も、真のヒーローは人知れず活躍するものだ。だれからも知られず、語り継がれることなくな。さあ、そろそろここから去った方がいい。警察の連中に目をつけられたくないからな。事務所へ行こう。ウインズレット公爵邸より近い」

 ボスに促され、話の続きは「何でも屋」の事務所で行うことにした。

 場所を事務所に移してから経緯を、というよりかはわたしの知らないすべてをきいた。

 姉は、スパイ活動をしていたらしい。
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