公爵閣下、あなたが亡妻を愛し続けるので後妻の私を愛せないというならお好きなようになさったらいいですわ。ただし、言行不一致で私を溺愛するなんてことは勘弁して下さいね

帰宅途中に……

 それはともかく、多くの人たちの注目は、わたしを疲れさせた。

 大柄で強面のブレントンと、ちんちくりんで美しくも可愛くもないわたしを祝福しなければならないのである。
 しかも、みんなとってつけたように「可愛い」とか「愛らしい」とか言ってくれていた。

 無理矢理言わせてごめんなさいって、みんなにしゃざいしたい。

 容姿については、幼い頃から亡き姉と両親から散々言われていた。とくに姉は、鏡を見るなと言ってわたしに鏡を見せなかった。そんなふうに言われていたので、自分でも鏡は極力見ないようにしていた。まともに見るようになったのは、ウインズレット公爵家に来てからである。

 それでも、長年の習慣でじっと見つめることは出来ない。

 まぁ、たしかに体の大きさは可愛らしい。体格たまけは、愛らしいわよね。
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