すべてを奪われ忘れ去られた聖女は、二度目の召喚で一途な愛を取り戻す〜結婚を約束した恋人には婚約者がいるそうです〜

14 天才魔術師ジャレドの帰還

 
「誰だおまえは! サイラから離れろ!」
「ん〜? あれ〜? カイルじゃないか? なにをそんなに怒って……うわ! 危ないな!」


 キンと音がして、カイルの剣が師匠の首元に当たる。しばし鋭い眼光で師匠を睨んでいたが、すぐに誰かわかったようだ。眉間にシワを寄せたまま、カイルは剣を鞘に戻した。


「ジャレド! いきなりどうしたんだ! もしかして転移してきたのか?」
「あ〜! 伯父さん! そこにいたの? 俺のぶんのランチはある?」
「ジャレド……」


 騒ぎにあわてて戻ってきた司教様が、師匠の相変わらずな態度に頭を抱えている。一年ぶりだというのに挨拶もなく、最初の言葉が「ランチある?」だもんね。ガックリくるのも無理はない。


 すると師匠は私のほうを見てにっこり笑うと、自分の胸に引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。
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