愛していますよ、だから幸せになってくださいね!

悪意の言葉と偏見と


「貴女が何も言わずにいなくなったからジュールはね、食事が喉を通らなくて元気がなくなってね、それはそれは大変だったのよ。貴女のことを伯爵に聞いても教えてくれないし、まさか国を出ているなんて思わなかったわ。それについてどう思うのか聞かせてくれる?」


 にこりと微笑む王妃様の顔は笑顔なのに怖くて言葉を探す。


「何も言えないの? 悪いと思っているからかしら? あんなにジュールと仲が良かったのに薄情な子ね。貴女のお母様譲りかしらねぇ? お茶会に誘っても断ってくるんだもの。ジュールがあんなに聞いても伯爵も口を割らなかったし、親子揃ってどう言うつもりなのかしら……! こんなことなら貴女を王宮に通わせるんじゃなかったわよ。貴方のお母様はお友達だから分かってくれると思っていたのに」


 お父様とお母様は王妃様がこんな状態で三年間も私の居場所を伏せてくれたんだ。


 ウェズリー様が手を重ねてくれた。テーブルの下だから王妃様には見られてないだろう。勇気づけられる気がした。

 きっとウェズリー様が何も言わないのは王妃様の様子を窺っているからなんだろうと思った。でも絶対怒ってる。

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