君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~

さまようジゼル

馬車の中で一睡もできないまま夜を明かしたジゼルは
ただただ窓の外をぼんやりと眺めていた。

今頃、ハンナたちやクララはどうしているだろうか。
敵ばかりだった王城で、唯一私の味方をしてくれていた人たち。
心を込めて私に仕えてくれた。
私がいなくなった後、彼女たちの処遇はどうなるのだろうか。

「陛下の姿を見たのもあそこが最後だったな。」
仲の良い夫婦というわけではなかったけれど、
それなりに上手くやっていたと思う。
陛下は私のお願いにも耳を傾けてくれる優しい人だった。
けれど、以前に一度会ったことがあるかどうかは結局聞けずじまいだった。

もうあの楽しかった日々には二度と戻れない。
「ユーフォルビアに戻ったら、どんな目に合うのかしら。」
父や継母は役立たずと私を責めるのだろうか。
継妹たちにも馬鹿にされて、惨めな思いをするにちがいない。

軽率だったのかもしれない。
でもジゼルがアランと会うときは必ずエミリアやクララが一緒にいた。
それにアランだって、私を愛称で呼ぶことはあっても一定の距離は弁えてくれていたのだ。
あの最後の日は泣いて取り乱す私と唯一同じ悲しみを分かち合える者として、
慰め励ましてくれただけだ。
お互いにやましい気持ちなんて一切なかった。
だからあの日のことでアランを責める気持ちは一切ない。

きっとあの写真はルイーザが撮らせたのだろう。
私の行動を監視して、ずっと陥れるチャンスを狙っていたのだ。
どの写真も私とアランしかいないように見える角度で撮られたものばかりだった気がする。
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