君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~

マグノリアの王妃

朝早くに起こされたジゼルはさながら着せ替え人形のようになっていた。

出会う人みんなに「おめでとうございます」と声をかけられ、こそばゆい。
ジゼルが小声で「ありがとうございます。」と返事をするので、
「もっと大きな声で堂々となさってください。ギーゼラ様は謙遜しすぎですわ。」とハンナがクスクス笑う。

「即位式で陛下がギーゼラ様の頭上に王妃の宝冠を載せますので、低めのシニョンにいたします。私、この日のためにすごいの考えたんです!」
自信満々に言ったエミリアの言葉に嘘はなく、
職人顔負けの編み込みを駆使した見事なシニョンを結い上げてくれた。
ドレスはなるべくシンプルなものを、というジゼルの希望通りに
無駄な装飾を排除したすっきりとしたデザインに仕上がっている。
「ドレスがごちゃごちゃしていないので、ギーゼラ様の美しさが引き立っていますよ。」
ソフィアがにこにこしながら褒めてくれる。
ハレの日ともあって、今日はみんながニコニコしていた。
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