君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~

王妃の楽しみ

そんなクララの意気込みとは裏腹に・・・
ジゼルの日常は平和そのものだった。
ユリウスは朝から晩まで仕事漬けで、二人の間に夫婦生活は全くない。
王妃としての公務も全く割り当てられず、
ジゼルは完全に暇を持て余していた。

とりあえずやることがないので、
自分のモチーフを何にするか考えた。

ハンナたちの話だと女性は花が多いらしいので、
大好きな藤の花にしようかと思ったがそれは辞めた。
藤の花はウィステリア王家の紋章でもあり、
ウィステリア王家ボーセット家の特徴は赤毛だった。
自身の最大の秘密を変に勘繰られでもしたらと思うと、この花をモチーフにはできない。

次に考えたのが水龍だ。
陛下のモチーフと対になって夫婦らしいのではと閃いたがすぐ没にする。
(夫婦と言ったって形ばかりだし・・・白々しいよね。水龍じゃなくても、動物つながりで考えましょう。)
そう考えたジゼルは場内にある図書室にクララを伴ってやって来た。
クララに手伝ってもらって、動物関連の本を読み漁る。
「フクロウは知恵や英知の象徴なのね。馬には美の象徴って意味があるんですって。意外ね、面白いわ。」
「馬は古代から天空の神々に関連づけられる動物ですからね。ちなみに、私のモチーフは馬蹄なんですよ。」
「馬蹄にはどんな意味があるの?」
「馬蹄はU字型をしていますでしょう?U字型には『幸運を逃さない』っていう意味があって、幸運のお守りなんです。シンプルですけど馬好きの私にぴったりのモチーフで気に入ってます。」
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