君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~

カサブランカのお茶会

「王妃様、大変でございます。」
珍しくハンナが慌てている。
「この封蝋をご覧ください。」
そう言って差し出した手紙にはカサブランカの封蝋が施されている。
カサブランカはルイーザのモチーフだ。

「まぁ、何かしら。」
恐るおそる手紙を開く。
そこにはお見舞いの言葉と、
王妃様を元気づけるために貴族夫人や令嬢に声をかけてお茶会を開くので、
ぜひ出席してほしいことが書かれていた。
「こんなお茶会出席しなくていいですよ。ルイーザ様が善意でこんなことするわけないです。」
エミリアが憤慨する。ジゼルも同意見だった。
「でも他の貴族たちにも声をかけているようだし。行かない方があらぬ噂を立てられるんじゃないかしら。」
「ルイーザ様のことだから、わきを自分の取り巻きで固めてるに決まってますわ。きっと王妃様が嫌な気持ちになってしまいます。」
「ありがとう、エミリア。私を気遣ってくれて。でもここで逃げたら一生逃げ続けないといけないわ。受けて立ちます。返事を書くから紙と羽ペンを。」
ハッキリ言って出席したくなかったが、行かないことは負けを認めることのような気がした。
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