声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

第21話

 フェーヴル伯爵家でお茶会のことで私は自分の行為が正しかったのかどうか、悩んでしまっていました。
 お兄さまを侮辱されたことでお相手の方に紅茶をひっかけてしまったことは、本当に正しかったのでしょうか。
 そんな思いでしばらくいた頃、廊下でお兄さまとばったりお会いしました。

「ローゼ、よかった。探してたんだ」
「(?)」
「一緒にまたあのカフェにいかないか?」
「──っ!」

 お兄さまからのお誘いは大変嬉しく、先ほどの悩みで落ち込んでいた気持ちも少し上向きになりました。


 急いで準備をしてお兄さまとカフェに向かうと、どうやらベリーフェアという期間限定のメニューが出ているそうで、お兄さまはそれが書かれたメニュー表を見せてくださいました。

「ローゼの好きなベリーのスイーツがあるよ、ここはタルトが美味しいんだけど今年はミルフィーユもあるね。どちらがいい?」

 う~ん、それは悩んでしまいます……。
 タルトのサクサク感も食べてみたいし、今年初というミルフィーユもベリーが層になって入っていて美味しそうです。
 あまりにうんうんと悩んでいるので、お兄さまが「半分こにしようか」と提案してくださり、そうさせていただくことにしました。

「お待たせいたしました、ベリーのタルトとミルフィーユでございます」
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