声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

第17話~Sideクリスタ~

 私がヴィルフェルト家にてお仕えするようになったのは、5年ほど前です。
 ですが、もともと母がラルスさまのお母上であるアデリナ様にお仕えするメイドでしたから、この家に小さい頃に来た事がありました。
 この家の皆様には大変よくしていただきましたので、私も大きくなったらここのお屋敷にお仕えにあがりたい!とよく思ったものです。

 そして私は病気になった母に代わるようにヴィルフェルト家のメイドとしてお仕えするようになりました。
 メイドで身でありながら家事スキルが低く、毎日失敗してはメイド長に頭を下げる、そんな日々でした。
 やがて段々メイドとして一人前に働けるようになった頃、私は彼女と出会いました。

 彼女は修道院の育ちではありますが、火事によって身寄りがなくなったため旦那様がこのお屋敷の娘として引き取られた方でした。

「14歳とお聞きしていますが、もう少し幼く見えます」

 細身で厳しい環境下におかれていたことがよくわかるお身体をされていて、少し気の毒に思いました。
< 89 / 131 >

この作品をシェア

pagetop