【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第116話】

それから3日後の5月13日の朝のことであった。

マダムズバーの仕事を終えたアタシは、赤茶色のバッグを持ってJR横浜駅へ続く道をゆっくりと歩いていた。

JR桜木町駅の付近を歩いていた時であった。

アタシは、敦賀で暮らしている友人と再会した。

「あら…とし子じゃない…元気だった?」

アタシは友人からの問いかけに対して、気乗りしない声で『うん。』と答えた。

友人は、アタシにモーニングを食べに行こうよと言った。

「とし子…近くのカフェでモーニングしない?」

アタシは友人と一緒に野毛大通《のげおおどお》りにあるカフェレストランに行った。

ところ変わって、野毛大通《のげおおどお》りにあるカフェレストランにて…

二人は、600円のモーニングセット朝ごはんを食べた。

その後、コーヒーをのみながらこんな話をした。

「ねえとし子。」
「何よ?」
「あんた、9度も離婚と再婚を繰り返したよね。」
「うん。」
「あんたはこのままでいいと思っているの?」
「アタシは9度も大失敗したから、ひどく落ち込んでいるのよ…」
「今のとし子は…ひどく落ち込んでいるのね。」

友人は、コーヒーをひとくちのんでからアタシに言うた。

「とし子、ひどく落ち込んでいる時にもうしわけないけど…」
「それって、アタシにまた再婚してと言うこと?」
「ごめん…ごめんね…」
「ごめんねじゃないわよ!!アタシはイヤと言うたらイヤよ!!」
「だから、ごめんねって言っているじゃない…」
「冗談じゃないわよ!!またアタシはクソバカ以下の男と再婚で、親きょうだいと同居すると聞いたから、ものすごく怒っているのよ!!」

アタシは、ひねた声で友人にこう言うた。

「あんたは、女の幸せは結婚して赤ちゃんを生むことしか他にないと言うのね!!」
「そんなことは言うてないわよぅ…」
「なら、先方さんに断ってよ!!」
「断るわよぉ…だけどその前に…」
「その前に…って、アタシにどうしろと言いたいのよ!?」
「だから…一度お相手と実際に会って、しばらく時間を置いてから結論をだしたら?」
「どうしても会えと言うの!?」
「だって、会わなかったら相手の人がどういう人なのか分からないわよぅ…もしかしたら、今度はとし子のことを大事にしてくださる人かも知れないわよ…」
「今回もまたクソバカ以下の弱虫男だから断るわよ!!心細い心細い心細い心細い心細い…と言うダンナの親…超安月給で、もてない超甘ったれシングルきょうだいのカノジョ代わりになる…まっぴらごめんだわ!!」
「とし子…落ち着いてよ…」
「アタシは同じセリフを9回も聞いたわよ!!だけど、ぜーーーーーーーーーんぶ大外れだった!!だからアタシはダンコ拒否するわよ!!」
「分かっているわよぉ…とし子…お願いだから怒らないでよぉ…」
「怒りたくもなるわよ!!」

友人は、思い切りブチ切れたアタシに対して『今度こそは大事にしてくださる人だから大丈夫よ…』と何度も繰り返して言うた。

けれど、アタシは信用できない…

アタシは、今回のお見合いも即おことわりする気でいる。

その翌日の午後であった。

アタシは、由比ヶ浜《ゆいがはま》にあるカフェレストランへ行った。

オシャレなカフェレストランであいつ(きよひこさんは大きらいだから以後、あいつと表記する)とお見合いした。

しかし、すぐにやめて帰った。

次の日の朝7時半頃であった。

アタシは、JR桜木町駅前にあるカフェレストランで友人と会った。

ふたりでコーヒーをのみながら話をしている時に、アタシは前日のお見合いの返事をした。

アタシは、お見合いを断ると友人に返答した。

すると友人は、口をへの字に曲げてイヤそうな顔でアタシに言うた。

「お見合いを断るって…あんた本気で言うてるの?」
「もうかんべんしてよ…」
「とし子のつらい気持ちはよくわかるわよ…だけど今回はやさしい人で奥さまを亡くされたイキサツがあったのよ…」
「だから断るなと言いたいの!?」
「断るなとは言うてないわよぉ…」
「だったら、アタシを自由にさせてよ!!」
「分かってるわよ…」
「たばこ吸わせてよ…」

アタシは、赤茶色のバックの中からメビウスのメンソールと赤色の電子ライターを取り出した。

アタシは、箱の中からたばこを一本取り出して口にくわえたあとライターで火をつけながら言うた。

「アタシはイヤ!!イヤと言うたらイヤ!!なのにあんたは断るな…それはどういうことよ!!アタシがお見合いを断ったら困る理由があると言いたいの!?…あんたもしかして、お見合いの相手の家に対してソコツしたのじゃないの!?」
「きよひこさんの家にメーワクかけてないよぅ…」
「それじゃあ、あんたの身内がカネをとかすなどの大失敗を犯したから、あいつの家に後始末をお願いしたの!?」
「ちがうわよ…」
「それじゃあ、あんたのクソ親類がヤクザにケガを負わせたからあいつの家にジダンをたのんだんじゃないの!?」
「ちがうわよ~」
「それじゃあ、あんたのイトコかハトコの女の子がホストに捨てられたので、ホストの子どもを中絶する手術の費用をあいつの家に出していただいたの!?」
「それもちがうわよ…」
「それじゃあ!!あんたの妹のムコが職場の女性従業員《おーえる》さんに対するセクハラが原因で妊娠させたの!?それとも、従業員さんたちにパワハラで人殺しをしたの!?それとも、ムコが従業員さん同士のカップルを無理やり別れさせたの!?」
「ちがうわよ!!」
「ウソばっかり言われん!!」
「ウソじゃないわよ…きよひこさんの家に女のコのきょうだいがひとりもいないのよ…お母さまもいないから困ってるので…」
「だからあいつは自立できないバカ男よ!!アタシは、自立できないクソバカ男はものすごく頭に来るのよ!!」

思い切りブチ切れたアタシは、灰皿に置かれているたばこを手にした。

アタシは、いっぷくくゆらせたあと、右手人差し指と中指にたばこをはさんだ状態で友人に言うた。

「あいつは、アタシを女のきょうだいたちやお母さまの代わりにするためにアタシと再婚したいといよんよ!!」
「とし子の怒る気持ちはよくわかるよ…だけど、きよひこさんのお父さまは病弱で寝たきりになっているのよ。」
「それなら、地元のシャキョウ(社会福祉協議会)に頼めばいいのよ!!」
「分かったわよ…それともうひとつだけど、弟さんが勤務している缶詰め工場のお給料が極力少ないのよ…その上に、再来月支給分からさらにお給料が減らされるのよ…お給料が減らされたら年収が600万円に満たなくなるのよ。」
「あんたね!!なんでもかんでも頭ごなしに決めつけるのはやめなさいよ!!」
「決めつけじゃなくて、きよひこさんの弟さんは資格や特技が全くないから、段ボールの折りたたみと箱詰めの仕事しかできないのよ…」
「それはあいつの弟にナマケグセがあるからよ!!」
「とし子、それはいくらなんでもいい過ぎよ!!」
「うるさいわね!!そう言うたあんたに聞くけど、あんたの父親はどーだったのよ!?」
「アタシのお父さんは年収800万で安定した昇給があった…」
「アタシたちの親の世代と今とでは、局面が違うのよ!!よく考えてから物を言いなさいよ!!」
「分かってるわよ…だけど、きよひこさんの家には温かいごはんとみそしるをついでくださる人がいないのよ…おいしい目玉焼きを焼いてくれる人がいないのよ…」
「男子チュウボウに入るべからずの家だから…と言いたいのでしょ…アタシはダンコ拒否するわよ!!」
「それじゃあ、とし子はきよひこさんのシングルきょうだいに温かいごはんとみそしるをつがないと言うのね…おいしい目玉焼きを作れないのね…シングルのきょうだいを散髪することができないのね!!」
「ますますはぐいたらしいわね!!あんたはアタシにどうしろと言うのよ!?」
「どうしてほしいって、幸せになってほしい…」
「イヤ!!拒否するわよ!!」

(ブチッ)

思い切りブチ切れたアタシは、吸いかけのたばこを灰皿の上で思い切り押し付けながら怒りまくった。

その後、コーヒーをひとくちのんでから友人に言うた。

「アタシは、あんたが言う幸せのテイギが全く理解できない…アタシは…不幸なままでいたいのよ!!」
「悪かったわよぉ…」
「それが人に対してあやまる態度なの!?アタシは拒否すると言うたら拒否するわよ!!あいつが『死んでやる』と言うたら『首を吊れ!!』と言うてよ!!ドサイテーでドサイアクだわ!!」

アタシは、友人とああでもないこうでもないと言い合いしたあと店を飛び出した。

あいつもまた、アタシと再婚しないと言うてイコジになった。

話し合いは、平行線に終わった。

それから2日後であった。

あいつはアタシの友人の妹さん夫婦から『弟さんとお父さまのごはんを作ってくれる人がいなくてもいいのかね?』と言われた。

だからあいつは『困る…』と答えて折れた。

それで、アタシと再婚することになった。

アタシも、友人の妹さんから『きよひこさんは困っているので助けてほしい…』と言うて部屋に居座った困った。

アタシは、これ以上部屋に居座られたら困るので折れた。

あいつとアタシは、10度目の再婚をしたけど、市役所に婚姻届けは出さなかった。

ここより、10度目の悲劇が始まった。
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