【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第56話】

8月30日のことであった。

オレンジタウンでは、空き家になっていた7~8軒の家が重機で解体された。

あいつひとりのせいで、住民全員がよそへ引っ越した。

これにより、あいつは完全に孤立した。

8月31日のことであった。

アタシは、徳島方面に向かう各駅停車の列車に乗ってオレンジタウンに行った。

赤茶色のバッグを持って列車を降りたアタシは、オレンジタウンヘ向かった。

オレンジタウンの駅を出てから50メートル先のところで不動産屋さんの担当者に止められた。

担当者は、アタシに対して険しい表情で言うた。

「コラコラおじょうちゃん!!はここから300メートル先は立ち入り禁止だぞ!!」
「えっ?立ち入り禁止?」
「昨日2~3世帯が引っ越ししたから、建物を解体しているんだぞ!!…それと…あれが見えないのか!?」

担当者は、アタシに対して『入り口の方を見ろ!!』と言うて、人差し指でさした。

アタシは、人差し指が向いている方を見た。

そしたら…

(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…)

入り口付近の道路を香川県警《けんけい》のパトカー4台がけたたましいサイレンを鳴らした状態で封鎖していた。

担当者は『落書きだらけの家の住人は極めて危険だからすぐに帰りなさい!!』とアタシをたしなめた。

担当者からたしなめられたアタシは、仕方なくオレンジタウンを出ることにした。

もう、そんなところまで危なくなっている…

あの様子だと…

あいつは、過激な行動に出るかもしれない…
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