【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第62話】

じゅんきが妹のあいこちゃんをレイプしたことが原因で、家族関係がズタズタに壊れた。

アタシに去られたあいつは、息子をズタズタに傷つけた容疑者がにくいと怒っていたけど、こんな時だけ父親《おや》ヅラしているから弱虫《なさけない》ねぇ…

あいこちゃんは、じゅんきから犯されたことが原因で、とてもとは言えないけど短大《ガッコー》に行ける状況ではなかった。

そんな中であった。

武方《たけかた》さんがあわてた表情で、じゅんきが入院している丸亀市内の救急病院にやって来た。

アタシが家出したことを聞いた武方《たけかた》さんは、オタオタした様子であいつに何があったのかを聞いた。

この時、あいこちゃんが泣きながらじゅんきからシツヨウに犯されたことを武方《たけかた》さんに打ち明けた。

それを聞いた武方《たけかた》さんは、あいつに対して『オドレはどこのどこまで甘ったれているのだ!!』と怒鳴りつけたあと、グーであいつのこめかみを激しく殴りつけた。

武方《たけかた》さんから思い切り殴られたあいつは、ビービービービービービービービーと泣き出した。

そんな中であった。

じゅんきが収容されているICUの入り口にきつね顔の女がいた。

女は、握りこぶしをギュウと握りしめながらブルブルと震えていた。

きつね顔の女は、あいこちゃんの実母である。

あいこちゃんの実母は、アタシの前に再婚していた女であった。

あいこちゃんの実母は、あいつとひどいもめごとを起こした末に、家から一方的に追い出された。

離婚届けを書かされたと同時に、あいこちゃんの親権を強奪された。

それによって、心がズタズタに傷ついた。

あいこちゃんの実母は、あいつとじゅんきと武方《たけかた》さんに対して激しいウラミを抱いていた。

じゅんきが収容されているICU室から50メートル手前に竹宮《たけみや》が隠れていた。

竹宮《たけみや》は、あいつが武方《たけかた》さんからボコボコにしわかれた(殴られた)あとビービービービービービービービービービーと泣いているのを見て『ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…』と嗤《わら》っていた。

その日の夜のはじめ頃であった。

ところ変わって、高松市天神前通《しないてんじんまえどお》りにあるローソンにて…

武方《たけかた》さんは、ここでバイトしているアタシに会いに来た。

アタシは、駐車場のゴミ箱の整理と水洗いのそうじをしていた。

武方《たけかた》さんは『もう一度家族で話し合ってくれないか…』とアタシに提示した。

アタシは、イヤだから拒否した。

「今回の一件は、じゅんきがあいこちゃんを犯していたいたことをあいつが見過ごしたから痛い目に遭ったのよ!!アタシは虫ケラ野郎を一生うらみ通すと訣《き》めたわよ!!…そんなことよりも帰ってよ!!」
「とし子さん、このままでは帰ることができないのだよ…じゅんきくんが通り魔事件の被害に遭ったので、ダンナさんはケーサツに対して怒りを強めているのだよ…この通り…」
「この通りって…あんたはアタシに何を求めているのよ!?」
「どうしてほしいって、ダンナとお子さまのそばにいてほしい…」
「イヤ!!拒否するわよ!!今回の原因は全部虫ケラ野郎にあるのよ!!虫ケラ野郎がクソバカだから、じゅんきがレイプ魔になった!!虫ケラ野郎はレイプ魔の息子をヨウゴしている…虫ケラ野郎の親類縁者たちもグルになっているからなお許さないわよ!!」
「とし子さん、それはいくらなんでもいいすぎだよぉ~」
「ますますはぐいたらしいわね!!アタシは思い切りキレてるのよ!!」
「悪かったよぉ…」
「もう許さないわよ!!よくもアタシの人生設計をいじったわねダンソンジョヒ魔!!」
「あやまるよぉ…1年前のあの夏の日に、とし子さんお父さまが死ぬ間際に『とし子の花嫁姿が見たい…』といいつづけていたからつい…」
「アタシは三原の実家のあやつり人形なんかじゃないわよ!!」
「とし子さん、とし子さんのお父さまは娘の花嫁姿を見ることだけしか楽しみがなかったのだよ…職場と家庭の往復だけの暮らしで、家族のためにせっせと働いていたのだよ…」

アタシは、ああもうと言う表情で武方《たけかた》さんに言い返した。

「あのね!!父が亡くなったからボロクソに言わしてもらうわよ!!父は、家族のためだけに働いてきたと言えるコンキョはなんなのよ!!アタシがどんな思いをしながら生きて来たのか…あんたに分かるわけないわよ!!」
「分かってるよぅ〜」
「ますますはぐいたらしいわね!!アタシは両親から過剰に愛情を注がれた結果、兄たちからきついいじめを受けたのよ!!…かわいいかわいい…たったひとりの娘だ…だから…欲しいものはなんでも与えてあげる…ほしいものがあったら言ってごらん…行きたいところがあったら言ってごらん…そう言われてアタシは育ったわ…それが原因で兄たちからいびつないじめを受けたのよ!!」
「分かってるよぅ〜」
「あんたはなんにも分かっていないわよ!!アタシは父からデキアイされたことが原因で不幸になったのよ!!」
「とし子さん…」
「アタシは、不幸なままでいいわよ!!しあわせになりたいなんて思ってないわよ!!」
「とし子さん、どうしたら許してもらえるのかな?」
「アタシを34歳以前に戻してよ!!」
「34歳以前にもどせだと!?」
「ええ!!」
「とし子さん、それは無理だよぉ~」
「ダメよ!!」
「過ぎ去った頃を戻せだなんて、無理だよぅ~」
「はぐいたらしい(あつかましい)わねあんたは!!アタシは、再婚しかやり直す方法がないことがものすごくイヤなのよ!!」
「それは…その…」
「あんたが父とグルになってアタシの人生設計を勝手にいじったから、一生うらみ通すわよ!!サイゴツウチョウよ!!アタシを34歳以前に戻してよ!!」
「だから無理だよ…」
「もういいわよ!!できないと言うのであれば今から田嶋組《たじま》に電話するわよ!!あんたの嫁の親類縁者たちをダンプでぺちゃんこにつぶすから覚悟しなさいよ!!」

それを聞いた武方《たけかた》さんは、女々しい声で『助けてくれ〜』と叫びながら逃げていった。

アタシは、再びゴミ箱の整理を再開した。

アタシは、あいつとじゅんきとあいつの親類縁者と武方《たけかた》さんを血の池地獄ヘ墜《おと》して焼き殺す…と決意した。

それと同時に、アタシの男ギライがより一層強くなった。
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