【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第77話】

2020年2月29日に、アタシは坂出市内の警察署にある留置場から出た。

6度目のダンナを殺したアタシは、留置場で暮らしていた。

殺されたあいつの4度目の嫁の子どもさんがケーサツにあいつがDVで嫁さんを殺すまでの様子を隠し撮りした動画を提出した。

これによって、アタシの正当防衛が認定された。

そして、アタシはシャクホウされた。

再び独り身になったアタシの身体に彫られていた刺青《すみ》をより恐ろしい地獄絵図《じごくえ》に変えた。

背中からおしり・後ろのひざにかけての範囲に墓場からよみがえった恐ろしいゾンビと真っ赤に染まった空の下にある墓場の様子が描かれていた。

両肩から両肩の8割の部分にものすごく恐ろしい龍のウロコと唐獅子牡丹《からじしぼたん》の刺青《すみ》を…

デコルテの部分に、するどい鎌《かま》を持った恐ろしい死神…

…の刺青《すみ》に彫り直してもらった。

同時に、アタシは男に対するうらみをより一層強めた。

話は変わって…

2020年7月はじめ頃であった。

アタシは、武方《たけかた》さん夫妻のいいなりになって徳島県阿南市の才見町《さいけんちょう》で暮らしている武方《たけかた》さんの奥さまのお父さまの知り合いの家の長男さんで、ケーズデンキに勤務しているひろみちさん(46歳)とお見合いして再婚した。

アタシは、7月10日からひろみちさんの家で同居を始めた。

9月に婚姻届を出すことができるけど、アタシはイヤだから拒否するわよ!!

アタシはイヤと言うてるのに、武方《たけかた》さんがどうしてもと言うから仕方なく再婚しただけ…

なんなのよ一体もう…

話は変わって…

8月の第二月曜日の朝方であった。

ところ変わって、阿南市才見町《しないさいけんちょう》にあるひろみちさんの家にて…

家には、アタシとダンナとダンナの両親に加えて、ダンナの職場でパート勤務をしている女性の息子さんのてつやさんが暮らしていた。

てつやさんは、日開野町《ひかいのちょう》にあるひろみちさんの弟のひろつぐさんが経営しているIT会社に勤務していたが、会社をやめかけていた。

話は変わって…

朝の食卓に、アタシとダンナとてつやさんがいた。

てつやさんは、かたくなに口を閉ざしていた。

朝8時過ぎであった。

うちに会社から電話がかかって来た。

会社の人が『てつやさんに助けてほしい…』と言うた。

会社の人は『8月31日に納期分の製品にバグが発生したので大至急来てほしい…』と言うた。

アタシは『分かりました…てつやさんに伝えておきます。』と答えたあと受話器を置いた。

アタシは、てつやさんにやさしい声で言った。

「てつやさん…会社の人が大至急きてほしいっていうてたよ。」
「何だよぉ…オレはあの会社をやめたいと言うてるのに、行けと言うのか!?」

てつやさんは、アタシに怒った口調で言うた。

アタシは、イヤそうな声でてつやさんに言い返した。

「どうしてそんなに怒るのよぉ…会社の人はバグを直すことができるのはてつやさんしかいないといよんよ…」

アタシにあつかましく言われたてつやさんは、やる気のない声で『分かった…』と言うた。

朝8時50分頃に、てつやさんが家から出発した。

アタシは、ダイニングの流しで食器の後片付けをしながら『今夜はてつやさんの大好物のお肉をたくさん焼いてあげようかな〜』と思っていた。

ダンナは、読みかけの徳島新聞をひざの上にバサッと置いたあと、ものすごく怒った表情でブツブツ言うた。

「ひろつぐは、どこのどこまで甘えているのだ!?…あのクソバカは経営者としての自覚がないからだめだ!!」

時は、朝9時半頃であった。

またところ変わって、ひろつぐさんが経営しているIT会社にて…

事業所に、ヤクザの男たち30人が突然乱入した。

リーダーでももけた腹巻き姿の男が鉄パイプで主任の男性をイカクした。

リーダーの男は、言うまでもなく竹宮豊国《たけみやとよくに》であった。

ヤクザの男たちは、田嶋組《たじま》の傘下《さんか》に所属する組織『風早連合《かざはやれんごう》』の構成員《チンピラ》たちであった。

鉄パイプでイカクした竹宮《たけみや》は、主任の男性を怒鳴りつけた。

「オドレクソガキャ!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィ~…たっ…助けてくれ…命だけは…死にたくない…」

主任の男性は、竹宮《たけみや》に対して許し乞いをしていた。

竹宮《たけみや》は、よりし烈な怒りを込めながら主任の男性を怒鳴りつけた。

「オドレクソバカ!!ひろつぐを出せといよんのが聞こえんのか!?」
「社長は少し遅れてくると言うて…ああああ!!」

(ドカッ!!)

思い切りブチ切れた竹宮《たけみや》は、主任の男性を金具がついたくつのさきでまたくらをけとばした。

竹宮《たけみや》は、よりし烈な怒りを込めながら言うた。

「オドレクソバカ!!ひろつぐのクソ野郎は、風早連合《うちのくみ》から5000万を借り入れた!!クソ野郎が『ユーシ断られたから助けてくれと言うたから、風早《うち》が5000万を貸し付けた…ところが、クソ野郎はわしらの求めに応じずに『待ってくれ〜』と言うた!!わしらはだいぶ待ったけど、もうガマンの限度や!!そういうことで、クソ野郎の借金をあんたらにはろてもらうぞ!!」

主任の男性は、泣きながら竹宮《たけみや》に許し乞いをした。

「無理です…私たちには、5000万を支払う力がありません…」

思い切りブチ切れた竹宮《たけみや》は、事業所内にいるたったひとりの女性従業員さんの腕をむりやりつかんだ。

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァ!!やめて!!」

女性従業員さんをむりやりひっぱった竹宮《たけみや》は、よりし烈な怒りを込めながら言うた。

「オドレらがわしらの求めに応じないようであれば、たったひとりしかいないかわいこちゃんを連れて行く!!…松山《マッチャマ》にいる知人のところへ高く売り飛ばすぞ!!」
「やめて!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

男性従業員さんたち数人は、10人の構成員《チンピラ》たちに殴りかかって行ったが、返り討ちを喰らったあと拳銃《チャカ》で撃たれて殺された。

(ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!)

主任の男性も、竹宮《たけみや》が持っていた拳銃《チャカ》で命《ドタマ》かち割られた。

(ドカドカ!!ガシャーン!!)

このあと、30人の構成員《チンピラ》たちはオフィス内にある金品を強奪した。

事件発生から1時間20分後の朝10時50分頃であった。

オフィスの中から、竹宮《たけみや》と数人の構成員《チンピラ》たちが出てきた。

この時、構成員《チンピラ》のひとりがドアにつけていたIT会社のプレートをむりやり外したあと、代紋入りの風早連合《かざはや》のプレートをはりつけた。

「アニキ。」
「おう。」
「カンバンを替えておきやした。」
「よぉやったな~…きょうの昼過ぎから出入りしてかまんぞ~」
「ありがとうございやす。」

さて、その頃であった。

またところ変わって、家にて…

アタシは、たまっている洗濯物を洗濯機に入れた。

その後、物干しざおに干していた洗濯物を取り込む作業をしていた。

そんな時であった。

(ジリリリリン…ジリリリリン…)

家の電話機のベルが鳴ったのでアタシは電話に出た。

電話は、てつやさんのお母さまからかかってきた。

「もしもし…あっ、てつやさんのお母さまでございますね…てつやさんは、今朝元気な顔で会社に出勤しました…またがんばる…えっ…てつやさんと…連絡が取れない…エーッ…今朝元気な顔で出勤しましたよ…今朝方、アタシに『がんばって会社に行くよ…』と言うて、元気な顔で…だから…ケータイがつながらないだけです…もうしばらく時間を置いてからかけてみてはどうですか!?…そんなことはありません…てつやさんは、パソコンを使う仕事がしたいと言うたのでひろつぐさんが経営しているIT会社に就職をしたのよ!!…てつやさんは元気な顔で会社に出勤したので安心してください!!」

アタシは、ものすごくむきになった声でてつやさんのお母さまに言うたあとガチャーンと電話を切った。

ウソでしょ…

てつやさんは…

元気な顔で会社に出勤わよ…

それなのに…

連絡が取れないなんて、おかしいわよ…

その頃であった。

日開野町《ひかいのちょう》の4階建てのテナントビルの3階にあるひろつぐさんが経営しているIT会社の入口付近の通路にて…

黒のサングラスをかけて、チャラチャラとした服装のひろつぐさんがチャラチャラした服を着ているだらしない若い女と一緒にやって来た。

そこへ、10人前後の構成員《チンピラ》たちがひろつぐさんと女のもとにやって来た。

「アニキ!!」
「オドレクソバカ!!」
「しまった!!」
「待たんかいコラ!!」

ひろつぐさんは、女を置き去りにしたあとその場から逃げ出した。

10人前後の構成員《チンピラ》たちは、ひろつぐさんを追いかけて走り出した。

ビルの前にて…

「待たんかいコラ!!」
「オドレひろつぐクソバカ野郎!!」

ひろつぐさん…いえ、ひろつぐは10人前後の構成員《チンピラ》たちから逃れるために必死になって走り出した。

10人前後の構成員《チンピラ》たちは、ひろつぐを追いかけ回した。

この時、竹宮《たけみや》と10人の構成員《チンピラ》たちがひろつぐが乗り回しているカマロの前にいた。

「アニキ!!これどないしまひょか!?」
「かまわん!!ぶち壊せ!!」
「へぇ!!」

(ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!ガシャーン!!)

10人の構成員《チンピラ》たちは、巨大金づちを使ってひろつぐの愛車を壊しまくった。
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