【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第78話】

さて、その頃であった。

才見町《さいけんちょう》の家に、てつやさんの両親がやって来た。

てつやさんの両親は『てつやが行方不明になったから捜索願いを出してほしい…』とアタシにコンガンした。

だからアタシは、ものすごくむきになった声でてつやさんの両親に言い返した。

「だから、てつやさんは今朝元気な顔で会社に出勤しました!!パソコンを使うお仕事が楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい…と言うてたわよ!!」

それなのに、てつやさんの両親は『捜索願いを出してください〜』と泣きながらいよった。

だからアタシは、よりし烈な声でてつやさんの両親を怒鳴りつけた。

「てつやさんは元気な顔で会社に出勤しました!!てつやさんは、パソコンを使うお仕事が楽しいと言うてました!!会社の人たちは全員やさしい人たちばかりだから大丈夫ですと言うてるのになんで分かってくれないのよ!!」

思い切りブチ切れたアタシは、てつやさんの両親に対して物を投げつけるなど…攻撃しまくった。

助けて…

アタシ…

壊れそうだわ!!

その日の夜7時過ぎだった。

アタシは、義父母(以後、ひろみちさんの両親は義父母と表記します)と一緒にてつやさんが帰りを待っていた。

テーブルの上には、てつやさんのためにたくさん焼いたお肉料理がならんでいた。

義父母は、ものすごく心配げな声でアタシに言うた。

「てつやさんは、まだ帰っていないのか?」
「おかしいわね…ねえとし子さん、てつやさんは本当に元気な顔で会社に出勤したの?」
「義母《おかあ》さま!!大丈夫ですよ!!てつやさんはいつも通りに元気な声で『ただいま。』と言えるから大丈夫です!!てつやさんは家に帰ってくると信じていれば大丈夫です!!」
「…だといいけど…」

そこへ、あいつ(以後、ひろみちさんはあいつと表記します)が疲れた表情で帰宅した。

「ただいま。」
「あなた、お帰りなさい。」

疲れて帰ってきたあいつに対して、義母が心配な表情で言うた。

「ひろみち、疲れて帰ってきたところもうしわけないけど…」
「何だよ…めんどくせーんだよ…」
「気持ちは分かるけど、てつやさんが家に帰ってない…」
「知らねーよ!!てつやが車にひかれようが連れ去られようがどうでもいい!!そんなことより、オレはクタクタに疲れているから風呂に入れさせろ!!」

あいつは、義父母を怒鳴りつけたあと部屋へ逃げ込んだ。

時の経過と共に、家庭内に不安がさらに広まった。

その中で、深刻な事件が発生した。

夜8時55分頃であった。

またところ変わって、阿南市津乃峰町《しないつのみねちょう》にある雑木林にて…

逃げ回っていたひろつぐは、竹宮《たけみや》たちにラチされたあと、雑木林《ここ》に連れて来られた。

ひろつぐは、必死になって叫んでいた。

「助けてくれ〜…この通りだ!!」

竹宮《たけみや》は、ものすごく恐ろしい声で言うた。

「ふざけるなクソバカ!!オドレは田嶋《うちのくみ》に対していちゃもんつけるなど…ぎょーさん悪いことしたからオトシマエつけてもらうぞ!!」
「オトシマエって、なんだよぅ〜」
「他にもオドレは、会社の従業員さん数人を自殺に追い込めたことなど…で自分が経営しているIT会社がブラック会社にした!!…その分も含めてきっちりとオトシマエつけてもらうぞ!!」

この時、派手なシャツを着た男12人がズボンを脱ぎだした。

同じ場所にいた8人の男は、ひろつぐをボコボコに殴りつけた。

(ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!)

「やめろ!!やめてくれ!!」

それから3分後に、ひろつぐは腐葉土の上に倒れた。

その後、12人の男たちがひろつぐが着ていた衣服を脱がした。

「やめろ!!やめろ!!」

その間に、8人の男たちもズボンを脱いだ。

そして…

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

ひろつぐは、よりし烈な叫び声をあげながら苦しんでいた。

20人の男たちは、ひろつぐの身体をぐちゃぐちゃに犯しまくった。

それから4時間後…

腐葉土の上に倒れたひろつぐは、全裸でボロボロに傷ついた姿で置き去りにされた。

ひろつぐは、ヨレヨレの体で起き上がったあとフラフラと歩き回った。

8月11日の朝方であった。

阿南市内《しない》の警察署から家に電話がかかって来た。

ひろつぐが全裸の状態で警察署に保護された。

アタシは、あいつと義父母と一緒に警察署に行った。

ところ変わって、警察署にて…

ひろつぐは、全裸でボロボロに傷ついた状態で国道55号線をフラフラと歩いていた時に、通りかかった警察官によって保護された。

全裸でボロボロに傷ついた状態のひろつぐを見た義父母は、ひどくオタオタしていた。

そんな中で、あらたなもめごとが発生した。

70代後半の男性がリーダーで50代~70代の男女8人で構成されたグループがものすごく恐ろしい表情でアタシたち家族の元にやって来た。

聞いたところによると、グループはひろつぐが経営しているIT会社に出資したグループであった。

グループのメンバーたちは、配当金を1円も受け取っていないと言うて激怒していた。

『配当金が払わないのであれば、裁判を起こすゾ!!』と言われたので、さらにややこしくなった。

あいつは、グループのメンバーたちに『帰れ!!』と言うて殴りかかって行った。

そこへ、ももけた腹巻き姿の竹宮《たけみや》がやって来た。

竹宮《たけみや》は、よりし烈な怒りを込めながらあいつと義父母をイカクした。

「帰れとはどういうことぞ!!配当金を1円も払わずに逃げるつもりか!?」

あいつは、竹宮《たけみや》に対して『あんたも帰れよ!!』と怒った声で言うたあと竹宮《たけみや》を小突いた。

小突かれた竹宮《たけみや》は、よりし烈な怒りを込めながらあいつに言うた。

「おいコラクソバカ!!よくもワシに焚きつけたな!!」
「なんや!!クソバカとはなんや!!」
「おいコラ!!オドレのきょうだいが犯したあやまちはきっちりとつけてもらうからな…配当金を払わずに逃げつづけるようであれば、こっちはそれ相応の対応を取るから…覚悟しとけよ!!ああ!!」

竹宮《たけみや》は、あいつを怒鳴りつけたあとその場から立ち去ろうとした。

竹宮《たけみや》は、立ち去る前にアタシに対してニヤニヤした表情で言うた。

「おや、これはこれはとし子さん…またお会いしましたね…シッケイしやした…ほな…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…」

竹宮《たけみや》は、不気味な嗤《わら》い声をあげながらその場から立ち去った。

ふざけるな竹宮《たけみや》…

シッケイしやしたと言うたあと、薄気味悪い嗤《わら》い声をあげるんじゃないわよ!!

アタシは、右手にできた握りこぶしをブルブルと震わせながら怒り狂った。

それから2時間後であった。

アタシたち家族は、ひろつぐを家に連れて帰宅した。

帰宅して早々に、大ゲンカが発生した。

あいつはソートーブチ切れていたので、ひろつぐをどうにかしろと義父母に八つ当たりした。

「サイアクだ!!本当にサイアクだ!!ひろつぐが会社を興《おこ》したいとわめき散らしていたのを何で止めなかった!!オラオヤジ!!」

あいつの言葉に対して、義父は『悪かったよぉ…』といじけた声で言うた。

だから、あいつの怒りがますます高まった。

「そう思うのだったら、ひろつぐを施設にぶち込めよ!!」
「あなたやめて!!」
「とし子は入ってくるな!!」
「あなた!!」

あいつとアタシが怒鳴り合ってた時に、端で聞いていた義母が『やめてちょうだい!!』と叫んだ。

「ひろつぐが経営している会社がブラック会社のレッテルを貼られた!!…その上に、出資してくださったみなさまに支払う配当金が1円もない…大株主のBさんの怒りがものすごくひどいからどうすることもできない…とし子さん!!」
「えっ?」
「今回の問題は、とし子さんにもあるのよ!!」
「なんでアタシも悪いのよ!?」
「てつやさんが行方不明になったことをどうして家族に知らせなかったのよ!?」
「アタシは知りません!!」
「いいわけばかりを並べないでちょうだい!!てつやさんのお母さまが激怒していたわよ!!あんたもブラック会社の社長とグルになって、てつやさんを押さえつけたから、何らかの形で責任を取ってちょうだい!!…それと、あの竹宮《たけみや》と言う男とできていたことも聞いたから、より重い責任を取ってもらうわよ!!」

義母はアタシに対してどぎつい声で怒鳴りつけたあと、ぐすんぐすんと泣きながら言うた。

「こんなことになるのであれば、ひろみちに嫁を迎えるのじゃなかった…探し回って見つかった嫁がヤクザの元愛人と聞いたから、イヤになったわ!!…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」

義母からボロクソに言われたアタシは、はらわたが煮えくり返った。

何なのよ一体!!

もうイヤ!!

がまんの限界が来たわ!!

何らか形で責任とれと言うのであれば…

この家とゼツエンするわよ!!
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