【一気読み改訂版】とし子の悲劇

【第93話】

時は、ゴールデンウィークが終わった頃であった。

ふじおさんは、スマホを置いて家出したあと行方不明になった…

高知県警《けんけい》は、ヒサナガさんの奥さまと赤ちゃんが殺された事件の捜査を進めているが、容疑者に結びつく手がかりが見つからないので苦戦していた。

それとは別に、ふじおさんとヒサナガさんの奥さまが小さい時からの幼なじみであったことが分かった。

あいつとふじおさんの関係がギクシャクした原因は、ふじおさんとヒサナガさんの奥さまがおままごとをしていたことにあった。

ふじおさんとヒサナガさんの奥さまがおままごとをしていたところを見たあいつが思い切りブチ切れた。

ブチ切れたあいつは、ふじおさんに対してボロクソおらびまくるなどでイカクした。

それを聞いた実家の家族があいつをとがめた。

それが原因で、あいつは野市(高知県香南市)の実家で暴れまわった。

あいつは、当時６つだったふじおさんに八つ当たりしたことを思い出したのでもうしわけない気持ちでいっぱいになった。

心配になったあいつは、野市の実家に電話した。

ふじおさんが実家に来ているかどうかを聞こうとした。

この時、電話に出た長兄《あに》が『知らん!!』と言うたあとガチャーンと電話を切った。

実家の親きょうだいたちから冷たくあしらわれたあいつは、ひどく気落ちした。

５月８日の朝７時頃であった。

家の食卓に、アタシとダンナとまさおさんの３人がいた。

３人は、いつも通りに朝食を摂っていた。

この時、まさおさんは、人をイカクする目つきであいつを見つめていた。

あいつは、やんわりした声でまさおさんにあやまろうとした。

しかし、まさおさんはよりするどい目つきであいつをイカクした。

あいつは、まさおさんに対してどうおわびすればいいのか分からずに困っていた。

その時であった。

(バーン!!)

まさおさんは、平手打ちでテーブルを思い切りたたいたあと家から出た。

まさおさんは、参考書など勉強道具が入ったショルダーバックを置いて家から出た。

まさおさんは、この日を境に大学に行かなくなった…

あいつも、家族と暮らして行くことがイヤになった…

アタシも、この家で暮らしていくことがイヤになった…

もう限界だわ…

これ以上、ここにいたら…

アタシはいつぞや殺されてしまうかも…

そう思っていた時であった。

アタシが恐れていた凶悪事件が発生した。