アンコール マリアージュ
やっと気付いてくれました?!
「はあ、もう、魂が抜けた…」

披露宴は無事にお開きとなり、身支度を整えた新郎新婦を見送ると、オフィスに戻った真菜は、デスクにバタリと突っ伏した。

「齊藤 真菜…、もはや胸が一杯です」

ボーッと呆けていると、久保にバシッと背中を叩かれた。

「いったーい!」
「何ボーッとしてるの!ほら、取材行ってらっしゃい。記者さん、サロンでお待ちよ」
「取材?取材…って。ああー!」

真菜は、ガバッと立ち上がると、急いでオフィスを出た。

「す、す、すみません!私ったら、途中から取材の事すっかり忘れてしまって…。菊池さんのことも、放ったらかしにしてしまいましたよね。本当にすみません」

サロンのテーブルで、何やら熱心にパソコンに打ち込んでいた菊池が、顔を上げて真菜に微笑む。

「いいえー。とっても素晴らしい式と披露宴だったわ。もう私、興奮しちゃって、手が止まらないの。すっごくいい記事になりそう」

お時間あるかしら?少しお話聞かせてもらえる?と言われ、はいと頷いた真菜は、菊池の斜め向かいに座っている人物に気付いた。

(誰?…って、真さんかいっ!忘れてた…この人も今日来てたんだ)

はあ、とため息をつきながら、真菜は真の隣の椅子に座った。
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