アンコール マリアージュ
突然の別れですか?!
5月に入って2日目のフェリシア 横浜。

ゴールデンウィーク中は、挙式や打ち合わせなどで大忙しだが、この日は平日とあって、少し落ち着いていた。

「真菜先輩」

美佳に呼ばれて、真菜はパソコンから顔を上げる。

「届きましたよー!無事に」

にこにこしながら、小さなダンボール箱を持って来る。

「ん、何が?」
「招待状です!園田様と上村様の」

あ、ああ、と真菜は頷く。

「じゃあ…、サロンの方で検品しようか」
「はい!」

サロンの丸テーブルの上で、美佳はそっと箱を開けた。

ビニールに包まれた招待状の束を取り出すと、デザインと文章を、書類を見ながら確認する。

「うん、合ってる!大丈夫そうですね」
「そうね、良かった」
「次回の打ち合わせ、来週ですよね?喜んで下さるかなー。お渡しするのが楽しみ!」

嬉しそうな美佳の笑顔に、真菜も微笑んで頷く。

だが、あれから新郎新婦のどちらからも連絡はなかった。

(次回の打ち合わせの予約はそのまま入れてあるけど…。いらっしゃるかな?どうなったのかな?この招待状も、ボツにならなければいいけど)

つい、暗い表情をしそうになり、真菜は慌てて笑顔を作る。

「じゃあ、美佳ちゃん。明日からは連休後半で挙式が続くから、準備の確認しておこうか」

そう言って立ち上がった時だった。

「真菜、ちょっといいか?」

呼ばれて振り返ると、館内へ続くドアから拓真が顔を出していた。

美佳に、先に行っててくれる?と断ってから、真菜は拓真のもとへ行く。
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