人間オークション       ~100億の絆~

Episode3

「さっき話に出てきた麗亜っていうのは僕の許嫁だ。神無月麗亜(かんなづきりあ)は日本で1番財力も権力も持つ神無月家のご令嬢。ただ困ったことに自由奔放に育ちすぎたせいか我が儘で僕も手を焼いているんだ。彼女にはお前を会わせようとは思ってる。だけど、麗亜のことだから命に悪口を言うと思う。それでも会ってくれるか?」


如月さんがこんなに遠慮をするような言い方をするってことは本当に大変ってことなのかな…?でも、この家に居させてもらっているわけだし挨拶くらいはした方がいいよね。


「嫌って言っても会わせるんでしょ?」
「まあ、そうだな。今から咲月に服も用意させる。それ相応の格好をしてもらわないと僕が困るからな。」

「じゃあ、咲月さんを探しに行ってきます。」
「いや、その必要はない。そこにいるからな。」


如月さんが言った”そこ”というのはこの部屋の入口の扉。もしかして、いやまさか……



「どうせ廊下で聞いているんだろ?命(みこと)を着替えさせろ。麗亜に劣らない程度でいい。それと、僕の横に立ってもおかしくない程度だ。」


ガチャ



静かに扉が開くとゆっくりと咲月さんが入ってくる。部屋に入るなり私の顔と体を見てため息をつく。



「且功様には申し訳ありませんが“これ”を麗亜様の基準に合わせるのは大変難しいかと。」




なんてムカつく人なの…。私のことが嫌いなのは会った時すぐに分かったけど、人の顔見て普通ため息つくわけ?いや、如月さんの使用人だからしょうがないか。



「おい命(みこと)、その目は何だ。まるで僕のせいとでも言っているようだが。」
「いーえ、別に!」

「では、こちらへどうぞ。」



目の前に咲月さんの手が差し出される。手を乗せようとしたらギリギリのタイミングで手を弾かれた。



「何か…?」
「いいえ、べっつに!」



如月さんの自由さにもムカつくけど咲月さんの私を馬鹿にしたような行動の方が何倍もムカつくわ。そっちがその気ならこっちだって……


「咲月さん。」
「は?いえ、はい。」


「私をとびきり可愛くしてくださいね。」


私だって嫌な返しをしてやるわ。自分がやられたら嫌なことは絶対にしちゃダメってお母さんは言っていたけど、これは咲月さんが先にやってきたことだからお返しくらいならいいよね。

「咲月、頼んだぞ。」


「かしこまりました……。」
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