人間オークション       ~100億の絆~

Episode2

車で連れてこられたのは想像していたよりも明らかに大きくて広い家……というより屋敷だった。

「おい、行くぞ。」
「行くってどこに…?」

「まずはお前を綺麗にする。安心しろ、メイドにやらせる。」
「馬鹿にしないでよ!自分のことくらい自分でやる。お風呂に入ればいいんでしょ!」


「お帰りなさいませ、且功様。」


私の声をとめるように男の人が如月さんに話しかけた。肩までかかった男の人にしては長い髪の毛、体の細さからは女性なのではないかとも感じる。




いや、待って、この人本当に男の人……だよね…?ズボンもはいてるし。






「こいつは咲月(さつき)。うちの執事だ。お前がいろいろ思っているのは分かるがこいつはちゃんと男だ。」

「こちらが新しい方ですか……珍しく馬鹿っぽくていろいろと足りなそうな人ですね。」



主人が主人なら、執事も執事っていうわけね……ムカつくとか超えて殴り飛ばしたくなってくる。




「とりあえずこいつを風呂場に連れてけ。服は適当でいい、玩具っぽければ。」
「かしこまりました。」




如月さんと別れ咲月さんに風呂場へと案内される。







「どうぞお好きにお使いください。頭には赤のボトルと緑のボトルを、体は黄色のボトルの液体をお付けください。」
「どうも……。」




こんなに立派なお風呂なんて初めてだ。いつも井戸水を汲ませてもらって、水を浴びるだけだった。






「頭には赤と緑……。」




これ、如月さんも使ってるのかな…いい匂いがする…。





いや、そんなの気にするな、私。買われたからって言われたままに従ってたら本当に玩具になってしまう。







お風呂は衛生的に仕方ないから入るけど、絶対に如月さんの言うことなんか聞かない。言いなりになんかならないんだから!
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