庇護欲強めの彼に守られ、愛されました
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 風薫る五月。すがすがしい季節は過ぎて、日ごとに日差しが強くなっている。
 汗が滲むような初夏の気候になるのは、きっともうすぐだ。

 私の名は来生 花怜(きすぎ かれん)
 大学生になってからひとり暮らしを始め、以前は大学から近い学生専用マンションに住んでいたけれど、社会人になった昨年の春、今のマンションに引っ越してきた。
 駅からさほど遠くはないし、夜遅くまで営業しているスーパーが近所にあるから助かっている。
 家賃もそこそこで好条件だから、出来るだけ長く住みたいと思うくらい気に入っている。

 今日の夕飯は、レシピ動画で見たタコとほうれん草を使ったアラビアータを作ると決めた。
 まだ日が沈まない夕方、仕事の帰りにスーパーに寄って買ってきた食材をキッチンに並べる。
 準備する材料も少なく、割と簡単に作れるレシピなので、おそらく買い忘れはないだろう。

 包丁でタコとほうれん草を切り、フライパンにオリーブオイルを入れて熱を加える。
 翌日に残る臭いが心配で、にんにくは控えめにした。
 トマトソースに食材が絡むと、途端に食欲をそそる香りが辺りに立ち込める。
 鍋で硬めに茹でたパスタをフライパンのソースとあえれば出来上がりだ。

「彩りがバッチリ。よきよき」

 ていねいにお皿に盛り付け、スマホで一枚写真を撮った。
 昔からSNSをやっている影響で、なんでも撮影するのがクセになってしまっている。
 上手に料理が作れたとき、誰かとおいしいご飯を食べに行ったとき、買い物で素敵なものをゲット出来たときなど、私は迷わずカメラを起動してシャッターを切る。

 お皿を持って自分の顔が映り込むように自撮りを試みた。
 少し光量が足りないだろうかと、撮った写真をチェックしているとき、突如キッチンの床の上をなにかが這った気配がした。

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