転生公爵令嬢のイチオシ!

今日は休日だ。
午後から里英ちゃんのマクラナ伯爵家のお屋敷で元イチオシ社3人でのお茶会である。

「メリア!今日のドレスもとても似合っているよ」

お兄様は今日も甘々だ。

「お兄様が選んでくださったドレスは素敵なものばかりで、とても迷ってしまいましたわ!」

クルリと回ってうしろのリボンも可愛いので見てもらう。
上品な白いリボンがお気に入りだ!

「メリア。ああ、可愛いね。今日はオーレル侯爵家とマクラナ伯爵家のご令嬢とのお茶会だったね」

「おふたり共に仲の良いお友達なのね!まぁ!メリィそのドレスも素敵よ!」

お父様とお母様も誉めてくれた。
それに、超人見知りのメリアーナにお友達ができて嬉しそうだ。

「はい。とても楽しみです!」

「良かったわ!」

うんうんと頷きながら家族や屋敷の人達が喜んでくれている。
メリアーナは外出しても家族にベッタリくっついて隠れていたもんね。

「このドレスはお兄様とお出掛けした時に選んでくださったのです。お兄様は本当にセンスが良いわ!」

美麗家族の団欒。
メイドさんになって遠くから全体を見たいなんて思ってしまう。
キラキラオーラが4倍でとても眩しく、素晴らしい眺めであることまちがいなし。

「では行ってまいります」

少し寒くなってきたのでコートを羽織る。
これもお兄様セレクト。
そして令嬢らしくお辞儀をして馬車に乗った。



* * * * *



里英ちゃんのお屋敷もこれまた豪邸!
貴族って凄いなぁと静かに歩きながらも見てしまう。
暖かいお部屋へと案内してくれた。

早苗様も着いていた。
各自おすすめのお菓子も持参して楽しみにしていたお茶会。
そして恒例のご挨拶。

「では…」

早苗様が立ち上がりコホンと喉を整える。

「お疲れ様です!!」
「お疲れ様です!!」

私と里英ちゃんも立ち上がり、お辞儀は30度で敬礼。

「イチオシ社、社訓その1!」

「お客様への誠実さ、そして常に笑顔と…」
「お客様への誠実さ、そして常に笑顔と…」
「お客様への誠実さ、そして常に笑顔と…」

今日は気分が乗って『社訓その3』までを言い終わり、それぞれ着席。

「ふぅ。やっぱりこれをやると落ち着くわね」

「魂にまで染み込み過ぎてるようで怖いですけどね」

「里英ちゃん!分かるわ!」

恒例の元イチオシ社の女子会の始まりである。

「ストライブ様との放課後の勉強会はどうなの?」

里英ちゃんから聞かれた。

「丁寧に教えてくれて分かりやすいのよ!」

「ストライブ様、成績が良くて優秀ですものね」

お茶を飲みつつ早苗様が言う。

「あとね、笑った顔がすっっごく可愛いのよ!それにとても人気があるのね。周りからのご令嬢方の視線が熱いの!もうあの可愛い笑顔を間近で見るのが楽しみになってきてるわ!」

「勉強しに行ってるんでしょ?」

「そして!お兄様が迎えに来てくれた時が最もオーディエンスが盛り上がるわ!徐々にオーディエンスが増えているもの!」

「タイプの違う美形が揃うのだからね」

「美麗お兄様と可愛い系ストライブ様が並んでいるのを見るのも心踊る時間よ!こんな機会そうそうない思わない?勉強も捗るわ!」

「それは新しい勉強方法ね。まぁ、ふたりともスタイルもいいし、格好いいものね」

「それにフレッド様もストライブ様も、婚約者になりたいというご令嬢がたくさんいるのにまだ決まっていないもの。あら、このチョコレート美味しいわ」

「早苗様!それは私の今イチオシのチョコレートです!美味しいですよね!」

私もチョコレートを食べる。

「お兄様には私がいるからまだいいのよ!でもストライブ様に婚約者の方がいたら申し訳なかったわね!いないの?」

「そうよ。前からいろんな話はきているみたいだけど、お断りしているらしいわ。…噂によると想いを寄せている方がいるのでは?という話もあるけど…」

里英ちゃんがチラリと私を見る。

「ええ。小さな頃から想いを寄せているとも噂があるわね。あと最近の新しい噂では前田さんが婚約者になるのでは? と言われているわ」

早苗様も私を見る。

「グッ!」

お菓子がまた喉に詰まりそうになる。

「私が!?」

『メリアーナ様の婚約が解消したから次の婚約者はストライブ様に決まったのでは?』
『実は想いを寄せていたのはメリアーナ様にだったのでは?』
『一途なストライブ様は諦めきれなかったのよ』
『ストライブ様の想いが届いたのね』
『毎日放課後に仲睦まじく逢瀬を楽しんでいらっしゃるわ』

「なんて噂よ。どうするの?芽衣」

「オーマイガッ」

顔がサーッと青くなる。

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