転生公爵令嬢のイチオシ!

金髪で赤い瞳の可愛らしい女の子が説明してくれる。

この国はフラワード王国。
貴族階級のある世界。
季節は日本でいう秋に入ったところだそうだ。

そして私はメリアーナ・クリスク15歳。
父は前国王の息子でエリオット・クリスク公爵。
その娘である私は公爵令嬢だそうだ。
前国王の息子が父!!?
何それ!?すごくない!?
本当にお嬢様だった…。

今いる所は貴族の子供達が通う学校。
フラワード学園の保健室。
私達は今年入学したそうだ。
セレブ達がいる学園かぁ。

「それで?私がそのメリアーナちゃんなんですか?」

金髪の可愛い女の子に聞く。

「そうよ。今のあなたはメリアーナ・クリスク公爵令嬢よ」

「はぁ…」

「そしてメリアーナの前の人生の時が前田芽衣よ」

前田芽衣は一体どうなってしまってこうなっているの???

「お嬢様でセレブ。…15歳??」

そんなところで私が上手く学園生活を送てるワケないわー。
前田芽衣は15歳ではなかったし。
何歳だったっけ? あれ?自分のことが分からない?

「はぁー」

なんだか頭がついていかない。
でもさっき鏡で見たお人形が私の意思で動くのも事実。

「私も前世を思い出した時はしばらく頭の中が混乱したわ」

「えっ!?」

「私も同じなのよ!横山里英!一緒に働いてたでしょ?」

「え!里英ちゃん!?」

「さっきは本当に驚いたわ。何かと『イチオシ』っておすすめするお店だったものね。まさかと思って朝礼で毎回言ってた社訓言ったら、そのままつられてくれるんだもん!」

クスクスと笑われる。

「いや、だって…」

少し顔が赤くなる。

「こんなに近くに芽衣がいたなんてね!嬉しいわ!」

「いや、里英ちゃんって。本当に?全然違うじゃない!金髪で赤い目って」

「それは当然よ。私達は今、日本人じゃないのよ。それはこの姿の前の人生の時。今の私はリエッタ・マクラナ伯爵令嬢よ」

ゆるふわの金髪を「綺麗でしょ?」と自慢しながら説明してくれた。

「里英ちゃん…」

目の前の金髪の女の子が里英ちゃんで、その里英ちゃんが言うならそうなんだろう。
私は前田芽衣だけど、今は薄紫の髪の毛が綺麗なお人形みたいなメリアーナなんだ…。

残念なような、納得したようなため息が出る。

「…階段であなたは婚約者から肩を掴まれて後ろに倒れてしまったの。体は大丈夫?痛いところはない?」

「肩と腕が少し痛い。って婚約者!?付き合った人もいないのに!」

「だからそれは芽衣の時の話でしょ」

「15歳で婚約者がいるなんて!しかもソイツに掴まれて倒れたの!?婚約者なのに?」

嘘でしょ!?

「そう。私は近くをたまたま通りかかったのよ。何か話かけてたみたいだったわよ。で、あなたが倒れたのを見てそのまま逃げたわよ」

「なんてヤツ!!最低だな!!」

何でそんなヤツが婚約者なの?

「とにかく、先生を呼んで来るわ。いい?まだ混乱してるだろうけど、今のあなたはメリアーナ・クリスク公爵令嬢よ。何か聞かれても分からないことはお嬢様っぽく誤魔化して!私もフォローするから」

「う、うん」

お嬢様っぽく!
今は日本人の庶民だった記憶しかないのだが…。
で、できるかな…。

< 2 / 81 >

この作品をシェア

pagetop