転生公爵令嬢のイチオシ!

「え?」

パーティー?

「パートナーがもしまだ決まっていないなら、私にエスコートをさせていただけませんか?」

私の手をさらに優しく包み込み、近づいた。

「!!」

手、手がっ!
きょ、距離が!

「ぜひ、私をパートナーに」

「!!」

今までで一番真剣な顔に見える。
その綺麗な濃い紫色の瞳に吸い込まれそう。
ドキドキがドキドキ過ぎて……もう無理ッ!!
手、手をそろそろ離してくださいー!!

「は、は、は、はい…!」

わけが分からなくなって、恥ずかしいし、真っ赤な顔で俯いて返事をした。

「…ありがとうございます!」

ストライブ様は満面の笑顔になった。

「!!」

至近距離で照れ要素がプラスされたあの目尻が少し下がった可愛い笑顔にまた衝撃を受けた。
ヤバい。心臓がもたん!

そのあとはストライブ様が私の教室まで送ってくれた。
みんなの注目を集めてしまったが、私のHPが減りすぎててどうでもよかった。
席に座りイッチくんマスコットを握りしめたまま、放課後までストライブ様の顔が頭から離れずボーッとしていた。

「メリアーナ様!もう授業は終わりましたわよ!」

「ダメね。魂が抜けているわ」

揺さぶられて気づくと里英ちゃんと早苗様が私を見ていた。

「…なんとなく分かってるけど、私の屋敷に来る?」

「そうね。ふたりの噂も広まってるだろうし、こんな顔じゃあのフレッド様がどう出るか」

お兄様にはリエッタ様の所に行くと伝えてくれた。


そして、3人で里英ちゃんのお屋敷へ向かった。
社訓をするHPもありません。


「それで?」

「勉強会のお礼をして、イッチくんマスコットとクッキーを渡したら、至近距離で…て、て、手を握られて」

「あのマスコット渡したんだ…」

「王家主催のパーティーに決まったパートナーがいるのか聞かれて」

「それで?」

「エスコートさせて欲しい。パートナーに選んでって……さらに手を包みこんで!!」

「…それで?」

「その顔が真剣な顔で…綺麗な瞳で…ギャー!!」

真っ赤な顔でソファーの上で悶え転がる!!

「……」

「そのあとの笑顔の破壊力ーーーー!!」

バンバンとソファーを叩く。

「……」

「この間の髪にチューも思い出すー!!」

ドンドンとソファーを叩く。

「髪にチューって?」

「勉強会の最後にーーー!!」

またソファーをゴロゴロする。

「へぇー。結構直球で攻めるタイプなのね。ストライブ様」

里英ちゃんがお菓子を食べながら聞いている。

「本当ね。特に今はストライブ様もたくさんの方からパーティーに誘われているでしょうからね。メリアーナのパートナーをフレッド様以外に決められないように、この機会に行動したのね」

「そして、あわよくばフレッド様よりも先にメリアーナに承諾させた」

「兄として当然自分がエスコートするつもりだったはずだからね。今頃気づいてるわね」

「先に『私と一緒に行くんだからね』と芽衣に言っておかなかったのが運のツキね」

私のドキドキが落ち着くまでふたりはつき合ってくれた。
いろいろ聞かれたけど…。




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