転生公爵令嬢のイチオシ!

王宮へ向かう馬車の中でストライブ様と当然だけどふたりきり。
ストライブ様と馬車に乗るのは初めてだわ。
過去最高にドキドキしているうえに、目の前にいる人のキラキラ度が高すぎて直視できない!
その正装姿と髪型が大人っぽくて本当に素敵。
いつもの白いジャケットに、ボルドー色のリボンタイの学園の制服も似合っているんだけど、今日は凛々しい。
赤い顔でしばらく俯いていた。

「馬車に酔ってしまいますよ」

「!!」

「こちらを向いてください」

膝の上に置いてあった両手を優しくそっと握られる。

「緊張しているのですか?」

「あ……」

「震えていますね」

握る手の力が少し強くなった。
安心してと言わんばかりの握り方。

「…」

この震えは、ドキドキし過ぎてどうしたらいいのか分からないの。

「私が側にいます。だから安心して……メリィ」

ストライブ様が手を包み込んで甘く囁く。

「!!」

メ、メリィって!
言葉が甘い!

「やっと、やっと近くに……」

「え…?」

また切なそうな瞳で見つめられた。

「今日は私のことは名前で呼んでください」

「名前で?」

「そう。レイと…あなたに呼んで欲しい」

手を絡めとられる。

「で、でも」

「呼んで欲しい…メリアーナ」

「!!」

真っ直ぐに私を見つめるストライブ様。
…色気が凄いんですけど!!
ど、どうしよう!!

「私も名前で呼ばせて欲しい」

「は、は、はい…」

もう呼んでるしッ!!
こんな16歳いるの!?
末恐ろしいわ!!

私はまた恥ずかしくて俯いてしまった。
ストライブ様の甘い視線を感じながら。
そして、手を繋いだまま馬車は王宮へ到着した。

ストライブ様が颯爽とエスコートしてくれる。
凛々しい濃い紫色の瞳。
正装姿に見惚れてしまう。

ストライブ様の手に私の手を乗せて馬車を降りた。
ドレスのスカートの裾がフワリと舞う。

ん?
周りから凄く見られている。
何で!?
何でこんなに注目されているの?

「!!」

ふと、足を止めてしまった私を促すようにまた腰に手がー!!
チラリとストライブ様を見ると蕩けるような笑顔で微笑んだ。

「どうしたの?メリアーナ」

こ、声が甘い!
耳が攻撃される!

「な、なんでも……ぁりません、ス、ストラィブ様」

声ちっちゃ!
俯いてしぼり出すような声しか出ない!

「レイでしょ?」

「!!!!」

耳元で囁かれる!!
み、耳が死ぬ!
攻撃力ハンパない!!

「レ、レ、レィ…さ、ま…」

またしてもカァーと一気に真っ赤になった。

「ありがとう。とても嬉しい…メリアーナ」

「ーーーッ!!!」

満面の輝く笑顔!!
最終兵器きました!!
一体私をどうしたいワケ!?

そんな初々しいカップルの様子を周りの人々は微笑ましく見ていたり、黄色い声を上げたりしていた。


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