転生公爵令嬢のイチオシ!

3.レイside

コンテストでは次の出場者の番号が呼ばれても舞台に上がってこないと騒がしくなっていた。

次の順番はメリアーナだ。
どうしたのかとアレックスと顔を見合せ、女性側の控え室の扉の方を見る。
メリアーナに何かあったのか!?
舞台袖の生徒達が慌てている様子が見えた。
目立たないようにそっと男性側の控え室の方に戻り、裏口から女性側の控え室へと急ぐ。
開けると誰もいない部屋の床に白くて丸い物が落ちていた。

「マスコット!」

手で拾い上げる。

「レイ!メリアーナ嬢は!? …それは?」

アレックスとカタリナ様も控え室に走って来た。

「メリアーナのものだ。……もしかしてどこかに連れ去られた?」

マスコットを強く握りしめた。

「こ、こんなことをしたのは誰!?」

怒りに震えたカタリナ様が怒鳴る。

「王宮騎士団長の娘であるこの私がいる時になんということなの!?」

キッ!と鋭い目で指示を出す。

「アレックス!お父様にすぐにお知らせして!とにかく学園中を手分けして探すわよ!!」

「分かった!あっ!レイ!」

控え室の裏口から外に出て走り出した。
近くには馬車が停められる場所があった。
まさかここからどこかに?
学園の外に出たのか!?

「!!」

少し離れた場所で他にも馬車が停まっている!
御者の所へ走り確認する。

「他の馬車ですか?ああ、少し前に停まってましたね。確かダンテ家のものだと…」

「ダンテ家ですか!?」

「いつもと違う所に馬車を停めているから変だなと思って見ていたんですよ。何か大きめの四角い箱を数人で運んでました。学園祭で使った物でしょうか?」

それだ!
数人がかりでメリアーナを運び出した!?

「教えていただきありがとうございます!」

ストライブ家の馬車へと向かう途中でアレックスに腕を掴まれた。

「おい!どこへ行く!?」

「ダンテ家だ!メリアーナは元婚約者のジャガーに攫われた可能性が高い!!」

「っ!分かった!こちらも向かう!」

アレックスは控え室の方へ走りながらヴァリテ家の者に指示を出している。
私も急いでストライブ家の馬車へと走った!

「メリアーナ!すぐに行く!!」

予定より早く私が馬車へと来たのでストライブ家の御者が驚いている。

「レイ様!まだ学園祭中では!?」

ただならぬ雰囲気を察してすぐに準備をしてくれた。
ダンテ家へと指示をし馬車へ乗り込む。

…しかしなぜ今頃ジャガーが?
メリアーナのことが諦められていないのは分かっていた。
しかしダンテ家やクリスク家からかなり厳しく言われていたはず。
こちらも動向には気をつけて見ていたはずだが。
学園祭で人が多い隙をつかれたか…!!

「くっ!どうか無事で!!」

マスコットを手にメリアーナの無事を祈った。

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