Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
2章:理由
 その日の帰り、私は会社と家の間にあるビアバーのカウンターで一人で飲んでいた。

 仕事が立て込んでいる場合は会社に泊まるが、まっすぐ帰れるときですらこんな寄り道をしてしまう。2日帰ってない家の中の様子は、もちろん2日前のまま。
 ものすごく汚いというわけではないけど、洗濯物は少し溜まっている。

『また洗濯物が溜まってたぞ。ほんと仕事の資料はきっちり作るくせにプライベートは抜けてるよな』

 昔、そんなふうに彼が言った。

『どうしても家のことは後回しになっちゃいます。それにしても神流さん、なんだかお母さんみたい』
『そういえば料理も振る舞いたいタイプだから、高校の寮で『お母さんぽい』といわれてたな……』

 家でも淡々としていてあまり表情を崩すこともない彼だったけど、プライベートな彼を知るたび嬉しくなった。

 仕事との向き合い方、人とプライベートで深くかかわること、人を好きになることも全部彼が教えてくれた。

 それにキスすることも、肌を合わせることだって……。

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