Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
8章:真相
 そのとき、店に一人の男性が走り込んできた。
 こちらに一直線進んでくる足が目に入って顔を上げると――。

「よかった、見つかって。2人ともスマホ見ろよ」

 神流さんが、額の汗を拭って立っていた。

「「神流さん⁉」」

 神流さんは私の水の入ったグラスをひょい、ととってグイ、と飲み切ってしまう。

「それ、私の……」
「すまない、久しぶりに全力疾走したから喉が渇いて。体力あると思ってたけどデスクワークはダメだな」

 神流さんは席に着くなりすぐにウーロン茶、と頼む。

「なんで? 今から浅間さんとホテルに行くんじゃなかったんですか」
「断った。今日の感じで、なんとなく様子が分かったからな。あれからすぐにまたNOEシステムに戻って少し用事済ませてたら2人とももういないし」

 彼は運ばれてきたウーロン茶も一息に飲んでそのグラスを置くと口を開いた。

「水原も知ってそうだから聞きたかった。5年前のこと。もしかして浅間さんと俺がホテルに入ってくところでも見た?」
「そうです。俺は5年前二人が、帝都パラシオットホテルに入ったところを見て、芦川にそのことを話したんです」

 神流さんは表情も変えずに呟いた。

「結局自分が原因だったってことか」
「それはそうでしょう、付き合ってる女性がいて他の女性とホテルで見合いとか」

 水原は咎めるように言う。しかし、神流さんは首を横に振った。

「そうじゃない。そんな大切なことを一言も聞かれもしなかった関係しか、俺は築けていなかったってことを後悔してる」
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