【コンテスト作品】たこ焼き屋さんの秘密。

郁さんとのデート



 そしてその次の週の週末ーーー。


「あ、智世里さん」

「か、郁……さん!」

 郁さんに気晴らしに一緒に出掛けようと誘われた私は、その誘いに乗ることにしたのだ。
 郁さんと初めて一緒に出掛けるから、ちょっと緊張している。

 普段よりもメイクをちょっとだけ濃いめにして、デートっぽくした。
 普段あまり着ないスカートも履いている。 こんなんじゃまるで、デートにウキウキしている女子みたいで恥ずかしいけど。

「智世里さん……」
 
「は、はい……?」

 私の服装をじっと見ている郁さんに、私はとんでもなくビクビクしている。

 え、もしかして……変だったかな? このスカート、似合ってない?

「今日、めっちゃ可愛いね」

「……へ?」

 間抜けな声を出す私に、郁さんは「今の間抜けな声も可愛いね」と言ってくれる。

「な、あ……えっと」

 可愛いなんて普段言われない私は、可愛いと言われることに慣れていないせいか、ドキッとしてしまう。

「そうとこも、可愛いね」

「あ、あんまり……可愛いとか、言わないでください」

「どうして?」

 どうしてって言われると……それもそれで答えにくい。
 
「恥ずかしい……から」
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