オレンジ服のヒーローは全力で彼女を守りたい
3
「わーきれい」


空は夏らしい鮮やかな青。水面はそれを映し、日を浴びてキラキラと揺らめく。

あの日連絡先を交換したものの、こちらからどう誘えばいいのかわからずに悩んでいたら、2週間ほどして彼から『かわいいカフェを見つけたから付き合ってくれない?』と連絡がきた。

今日はカフェでフルーツパフェを食べた帰り道に、ドライブがてら海へ行くことに。

浜辺にはたくさんの人がいて、波に乗るサーファーの姿もちらほらと見える。

駐車場に着き車を降りれば、潮の匂いがふわっと香る。

今日も天気予報では真夏日のはずだけど、海風が吹いて気持ちいい。


「気温高くても海辺は涼しいよな」

「うん、開放感があるし…。あ」


ここで気づいた。


「もしかして、暗い所とかに行かないように気を使ってくれた?」

「夏場に行ける涼しい場所を考えると水族館とか映画館とか浮かぶんだけど、もしかしたらまだ苦手かなって思って…
ごめん、余計な気を回しすぎたかな」

「ううん。やっぱりまだ映画館も怖くて…ありがとう」


短髪が風で揺れ、彼はホッとしたように微笑む。

やさしいな。こんなふうにさりげなく気を使ってくれるなんて。

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