魔術師団消防局で働く伯爵令息ハルトは、五年前に婚約者から浮気され婚約破棄をされて以降、色恋沙汰を避け続けそのまま25歳を迎えていた。しかし、新年度を目前に控えたある日、昇進の条件として結婚するよう言い渡され、寮を追い出された彼のもとに、大きな荷物を抱えたひとりの女性が押しかけて来た。
「クラルテと申します。旦那様のお嫁さんになるため馳せ参じました!」
彼の婚約者に内定したというクラルテは天真爛漫な侯爵令嬢。なんでも、彼女は元々ハルトのことを慕っていたらしく、使用人もいない屋敷に上がり込み、嬉々として給仕を始めてしまう。
しかし、頑固者のハルトは、一度決めたことは曲げたくない。過去の婚約者を想い続けるためにクラルテとの婚約を拒否しようとしていたのだが……。
「旦那様がわたくしとの婚約に納得していないのは知っています。わたくしは旦那様に愛してほしいだなんて言いません。だけど、わたくしは旦那様を心からお慕いしておりますので……愛されたいとは思っています。ですから旦那様、覚悟、していてくださいね?」
(こんな可愛いことを言われて愛さずにいられるはずがないだろう!)
いつのまにか二人の攻守は完全に交代。しかし、クラルテは押すのは好きでも押されるのは苦手なようで…!?
(どうしよう……旦那様が甘すぎて困ります!)
押しかけ令嬢クラルテと、押しかけられた魔術師ハルトの溺愛攻防。
※このお話は小説家になろう様、アルファポリス様でも公開しています。
目次
- 【1章】先攻クラルテ 押しかける!
- 1.押しかけ令嬢クラルテ
- 2.頑固者の結婚観
- 3.絶対嫌です!
- 4.このあと、どうします?
- 5.思い込んだら一直線
- 6.前言撤回のすすめ
- 7.独占欲発動
- 8.え? 全部ですけど
- 9.ダメ、だろうか?
- 【2章】後攻ハルト 無自覚に攻め返す
- 10.クリティカルヒット
- 11.返り討ちにされてしまいました
- 12.わかっていますとも
- 13.クラルテのお仕事①
- 14.クラルテのお仕事②
- 15.プレヤの助言
- 16.君の時間を貰えないだろうか?
- 17.決戦準備は入念に
- 18.見ちゃダメ?
- 19.俺も同じだから
- 20.どうして忘れていたのだろう?
- 21.大丈夫……だよな?
- 22.それはありふれた言葉だけど
- 【3章】攻守交代......のはずが、ハルトのターンが終わらない
- 23.それは......反則だろう?
- 24.すっかり忘れていました
- 25.すでにやらかしてしまったあとなんですよ
- 26.わかってないなぁ