楯岡 芙結(たておか ふゆ)は、普通の女の子。

“あれ”が見える以外は。


「そろそろ俺の彼女になりなよ」

「無理。だって、瑞貴(みずき)とは、繋がってないでしょ」

「また“糸”の話?」


私、見えちゃうんです。
……運命の赤い糸。


右手の小指から伸びた、細い赤い糸。

その先は……――


「……見つけた。運命の人」

「は?バカ?」


やっと見つけた相手は、パパの再婚相手の息子。
義兄の学(まなぶ)。


「繋がってなくても、俺は芙結が好き」

そして、ずっとそばにいた幼なじみ。
村山 瑞貴(むらやま みずき)


「俺は、家族ごっこなんかするつもりないから」


第一印象は、最悪。

でも。


「大丈夫。俺しかいないから、泣いても」


私たちはきっと、恋をする前提で出会った。


✩.*˚

「赤い糸、結んであげるからこっちおいで」


好きじゃない、まだ。
でも、恋になる。きっと。


***
2020/3/24~9/5

野いちご掲載 2023/9/18~

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