月と太陽の事件簿1/月明りに照らされて
車のライトが右のカーブを照らした。

あたしが軽くブレーキを踏んでからハンドルを回した次の瞬間、
ライトの中に人影が浮かび上がった。

あたしはとっさにブレーキを踏んだ。

「のわっ!」

ブレーキ音より大きな声で助手席にいた男が叫んだ。

おそらくどこかで頭をぶつけたんだろう。

さんざん注意したのにシートベルトをしないで眠りこけてた罰だ。

「レミ、もうちょっと安全運転してくれよ」

うらめしげに言った
彼の言葉にあたしは
ため息をついた。

「あのね、あんたが今乗ってるのはパトカーなの。運転手に文句つけるならタクシー乗ってる時にしなさい」
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