【短編】恋は月夜に舞い降りる【砂糖菓子より甘い恋-
本当は迷うことなく頷きたいのに。

私を取り巻く事情が、そうはさせてくれません。

またここでお会いできるかどうか、私でさえも分からないのですから。

「分かりません。でも、出来るならまたここで、あなたにお会いしとうございます」

私は正直に言いました。

でも、もう、月より太陽のほうが強くなっています。

私の声音があの方に本当に届いたかどうか……。

私には自信がありませんでした。


そうして、二人きりの特別な夜は、音もなく終わっていってしまったのです。

私の心に、拭い難い想いを深く刻んで。
< 11 / 31 >

この作品をシェア

pagetop