【1994.10.30 東京】


 カイがブルーを殺してしまった後、私はしばらくゴーストアパートに近づくことができなかった。残酷に猫を殺した彼を恐ろしいと思う気持ちよりも、自分がカイの猫を責めてしまった結果、ああなったのだという後悔の方が強かったような気がする。あれほどかわいがっていた猫を泣きながら手にかけたカイ。その気持ちを思うと、どんな顔をして彼に話しかければいいのかわからない。


 ゴーストアパートの前をうつむいて通りすぎるようになって1週間がたったとき、カイが私を呼び止めた。


「美月。おいでよ。蜃気楼が見える」


 以前と変わらない淡々とした口調と笑顔にホッとした。

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