窓のない窓際

歪んだ俺

 
「あ!いたいた!
おーい、瑞希(ミズキ)!」

「……あー?」

「あー?じゃねーよ。
お前、今日は練習来れるんだよな?」

「あ、ごめんパス」

「ちょ、お前……!
昨日は行けるって言ってたじゃねーか!」

「あはは~。
わりぃ、わりぃ。
だって仕方ねーじゃん、用事入ったんだからさ」

「用事って……どうせまた女だろ!」

「あり?バレた?」


俺がいつも通り舌を出してニカッと笑えば、目の前の友達はいつも通り深く長い息を吐く。


「瑞希……お前いい加減にしろよな」

「あー?何をでちゅかー?」

「……もう好きにすれば」


呆れたと言わんばかりに再び大きな溜め息をつくと、そいつはさっさと俺から離れていった。


「なんだあいつ、すかしやがって。
……ばーか」


小さくなっていく後ろ姿に、周りに聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟く。

 
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