Bitter Love〜苦くて切ない恋〜

押さえられない

あたしって、こんなにも嫉妬深かったっけ。

前につきあっていた彼氏とは、女の子が寄ってきてもこんなに嫉妬しなかった。

けど、何で中沢さんの時は、嫉妬深くなるの?


「芯ってさー」

あたしは言った。

「好きな人に嫉妬したことある?」

藪から棒並みのあたしの質問に、芯は磨いていたグラスを落としそうになった。

「何でそんなこと聞くの?」

グラスを持ち直しながら芯が言った。

「別に、なんとなく」

「答えになってないじゃん。

あ、いらっしゃい」

客がきたらしい。

中沢さんだった。

いつものように、あたしの隣に座る。

中沢さんにとって、あたしの隣は、特等席も同然なのだろうか?

いや、それは違う。

あたしがいるから、中沢さんは隣に座るんだ。

特等席とか、そんなのではなくて。

「中沢さ〜ん。

何とかしてやってくださいよ〜」

泣きつくように、芯が中沢さんに言った。

またこいつは…。

都合の悪い時だけ、中沢さん頼みか!
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