音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~

ダルい体と補習





―――翌日。


あたしは遅刻せず優ちゃんと待ち合わせしているいつものバス停に着いた。


「おはよう」


「おはよ。 遅刻しなかったね」


「まあね」


「どうする?」


「バスで行く」


「珍しいね。 まおが月始めにバスを使うだなんて」


「ちょっとね……」


そう。 あたしがまだ月始めににバスを使うだなんて、滅多なことが無い限りない。


今日は昨日よりも冷え込みコートを着ていても、肌に突き刺さるような刺激を与えてくる。


天気予報は“午後から雪が降るらしい”って言っていたかな?

ま、天気予報は当てになら無いから、あまり信じてはいないけど。

見上げた空は、くもり空。 少し、雪が降りそうな感じがする。


数分でバスが着き二人掛けのシートに腰を下ろした。


ピューと冷たい風に当たっていたせいかバスがとても暖かく感じ、リンゴのような手も次第に普段の色に戻り始めた。





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