音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~

気が付いた異変





「いつまで寝ているのっ! 早く起きなさい」


「ムリ…… 休みなんだからもう少しだけ」


数日前、卒業式と終業式を終えた。 晴れて、高校生は春休みに入った。


「あのねー、理央はいつも通りに学校に行った」


ママがため息をつきながら、言っているのを目を閉じながらも聞こえる。


「そりゃそうだよ。 中学生だもん」


気を許すと、今にも夢の世界へ行きそうな状態だけど…… なんとかここは、踏ん張る。

でも、本当に…… 眠い。


部活をしていないからこの春休みは、ほとんど休み。

義務教育中の理央ちゃんは3月半ばくらいから休みだったはず……。


要するにだ…… 理央ちゃんが居ない今、あたしは1人だからすることがない。


優ちゃんは優ちゃんで親戚の家に行くらしく、ほとんど休みは遊べない。 陽太くんは知らない。 たぶん、バスケだろうな?

いっくんは…… バイトかな? そう言った話し、していないから分からないや。


「昨日は何時に寝たの?」


「3時すぎ…… だから眠い。 まだ寝かせて」


今は午前8時。

5時間しか寝てない!

5時間とか、あたしには短すぎる。 学校のある日でも、なるべく7時間は寝ていたのに……。




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