達人
初伝
その人は、既に七十歳になるという。

体も小さく、皺だらけの顔。

見た目はどう見たってただの老人だった。

耳も遠くなり、湯呑みを持つ手も小刻みに震えている。

だがこの老人を知る者は、名を聞くだけで畏怖し、平伏し、教えを乞うという。

城山賢人(しろやまけんじん)。

道場の真ん中、合気道の道着に身を包んだまま目の前で茶を啜るこの男が、俺の目的でもあった。







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