魔法の角度
金星



僕は屋上のど真ん中に大の字に寝転ころがって空を見上げる。

誰も来ない、1人で過ごす昼下がり。

今日もいい天気だ。



教室は苦手だ。

女の子たちが友達の悪口に花を咲かせる。

男の子たちが下らない見栄の張り合いをする。

そういう空気が嫌いだ。

まぁ、そんなこと言ってる僕も、彼らと大して変わらないのかもしれないけど。



昼休みは屋上で過ごす。

いつの間にか、習慣になった。



本当は屋上には入っちゃいけない。

普段は鍵もかかってるから入れない。

だから1人になれるというわけ。

僕が入れるのは、偶然とおばさんウケがいいことのおかげだ。

< 2 / 38 >

この作品をシェア

pagetop