Melty Kiss 恋に溺れて
「……っていうか、どうして大雅が学校に居るのよ?」

ようやく赤城さんの運転する車に乗り込んだ私は、思わず声を荒げた。
ちなみに、赤城さんの車は堂々と「来客用」スペースに駐車してある。

「忙しいんでしょう?」

忙しいはずだ。
麻薬の売人を取り締まらなきゃいけないだろうし。
来月のパーティーの準備だってあるだろうし。

そう。
妻を確定しないと、いけないだろうし。

さらりと。
黒髪を揺らして大雅が笑う。
木漏れ日のように暖かい笑顔だ。

「ええ、忙しいですよ。
特に、可愛い妹の面倒を見るのに手一杯の状態です」

「み、見て無くても大丈夫だからっ」

「どうしてですか?
あんな危険な部屋、二度と足を踏み入れてはいけませんよ」

「危険って?」

「中で何が起きてるか、全然分からない。
危険極まりないじゃないですか」

うーん。
プライバシー保護の観点から云々って、大雅に説明しても分かってもらえそうにないと思った私は、軽く唇を噛む。

「でなければ、今すぐ都さんを退学させます。
いいですか?」

「嫌よ。
学歴は大事だって、パパが言ってたしっ」

自分だって大学に行っているくせにっ。(もちろん今は夏休み中)
私だけ高校中退させるのは酷いと思う。
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