キミと、世界の果てまで。
あたしの突然の申し出に、レンは微笑みながら頷き、あたしの手を握った。
そういえばあたしは、レンの事をほとんど知らない。
もしかすると、レンには美人の奥さんが居るかもしれないし、結構歳を取っているかもしれない。
だけど、それならそれでいいと思う。
この気持ちを忘れないなら、このままでいいと思う。
「約束だからね、レン…!」
あたしはレンと指切りげんまんをしようと、握られている手とは反対の手の小指を差し出す。
だけど、レンはあたしの小指をスルーし、ゆっくりと身体を近付けて来た。
―――息が、止まりそう。
いや、完全に止まった気がする。
「ああ、約束だ」
そう囁くレンの顔は、あたしの顔のすぐ目の前。
低くて、少しだけ掠れている声に、声を出す度に揺れる喉仏。
全てに気を取られながら、あたしの鼓動は、激しく動き出す。
レンはゆっくりとあたしの顔に接近すると、優しく、壊れ物に触れるように、あたしの額に唇を寄せた―――
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