キミと、世界の果てまで。



あたしの突然の申し出に、レンは微笑みながら頷き、あたしの手を握った。



そういえばあたしは、レンの事をほとんど知らない。


もしかすると、レンには美人の奥さんが居るかもしれないし、結構歳を取っているかもしれない。



だけど、それならそれでいいと思う。


この気持ちを忘れないなら、このままでいいと思う。




「約束だからね、レン…!」




あたしはレンと指切りげんまんをしようと、握られている手とは反対の手の小指を差し出す。


だけど、レンはあたしの小指をスルーし、ゆっくりと身体を近付けて来た。



―――息が、止まりそう。

いや、完全に止まった気がする。




「ああ、約束だ」




そう囁くレンの顔は、あたしの顔のすぐ目の前。


低くて、少しだけ掠れている声に、声を出す度に揺れる喉仏。



全てに気を取られながら、あたしの鼓動は、激しく動き出す。


レンはゆっくりとあたしの顔に接近すると、優しく、壊れ物に触れるように、あたしの額に唇を寄せた―――




.
< 250 / 312 >

この作品をシェア

pagetop