「きゃあ――っ! これってキスマークじゃんっ!」

放課後、それぞれが持ち寄ったお菓子を広げ、お喋りに花を咲かせていたあたしは教室の片隅で上がった黄色い声に思わず、本当に思わず、カッターシャツの胸元を鷲掴みしてしまった。

「……って、え?」

あたしの反応を見て、プリッツを齧っていた花菜ちゃんとさおりんが大きく目を見開く。

豆鉄砲を食らった鳩みたいに目を真ん丸くさせる二人にしまった、と思うものの、あとの祭り。

「ええっ!? って何? 何なのっ、今の反応はっ!?」

暫しの沈黙を挟んだ後、齧っていたプリッツをぼろり、と溢した花菜ちゃんは椅子から立ち上がるなり、がばりっ、と勢いよく肩を掴む。

「お……おおお落ち着いてっ、花菜ちゃんっ! あ、あれよ、あれ! 大きな声に驚いてつい」

がくがく肩を揺さぶる花菜ちゃんの迫力にたじたじしつつ、何とか落ち着かせようとしたものの、花菜ちゃんの興奮は収まるどころか、ますますヒートアップっ!

「って白々しい嘘を吐くんじゃないわよ! ちょっと見せなさいっ!」

「って、ちょ……花菜ちゃ……!」

じたばたと抵抗するあたしの手を撥ね退け、ぐいっ、と胸元を引っ掴むと、花菜ちゃんは第三ボタンまで一気に外し、シャツの胸元を大きく広げて、首筋から胸元を食い入るように見つめる。

アベルと再会してから、かれこれ三日。

あの日、肌に刻まれた印(しるし)は随分と薄れてきて、そんなに目立つものではなかったけれど、日中は暑ささえ感じる今日この頃。

肌の露出も多いかと思って、念の為にファンデーションを塗っておいたのが功を奏したようだ。

どうかばれませんようにと祈りつつ、花菜ちゃんが諦めてくれるのを待っていたら、その痕跡を見つけられなかったのか、花菜ちゃんは訝しげに眉を顰めながらも、ようやくシャツから手を離してくれた。

(よ……良かった)

肌蹴(け)た胸元を押さえながら、何とかやり過ごせたことに、ほっ、と息を吐いたのも束の間。

「―――……ねえ、一つ聞いてもいい?」

いつもより低い花菜ちゃんの声色にあたしはぎくり、と身体を強張らせた。

「……な、何?」

「あの日、うちのバカ兄貴と何があったの?」

「……って何それ?」

何でこのタイミングで恭にいが出てくるの? と思いつつ、きょとり、と首を傾げれば、花菜ちゃんは眉間に皺を寄せると、くわっ、と目を見開く。

「何それ、じゃないわよ! 遊園地に行ったあの日、観覧車でうちの兄貴と何かあったでしょ! 正直に白状しなさいっ!」

「って、ちょ……ちょっと待ってよ! 白状も何も―――……」

「ええっ!? 美緒がえっちした相手って恭平さんなん!?」

突然降って湧いた話に混乱を極めていたら、廊下にまで響き渡るような大声で、さおりんがとんでもないことを言う。